北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席したインド太平洋地域の主要な4つの民主主義国(IP4)が、朝ロの「違法な軍事協力」を糾弾する初の共同声明を発表した。韓国が属するインド太平洋地域にはNATOのような集団安保機関がないため、今後この枠組みが、価値観を共有する域内の諸国が安保問題を議論する枠組みへと拡大する可能性がある。政府はこの枠組みが中国と対立しない、開放的かつ包容的なものへと発展するよう、最善を尽くすべきだ。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は11日、米国ワシントンで行われたIP4首脳会合に出席し、「ウクライナ戦争や北朝鮮の挑発などの地政学的挑戦が増大する時期にあって、NATOやIP4のような価値観を共有する国同士の連帯はいつになく重要」になっているとし、「4カ国の連帯を再確認し、国際社会の平和と繁栄に寄与する方策を議論することを期待する」と語った。参加国はその後の会合で、ウクライナ支援▽人工知能(AI)▽偽情報▽サイバーセキュリティーの4分野の「重点協力事業」をNATOとともに推進していくことで合意した。
4カ国は2022年2月末にウクライナ戦争が始まって以降、NATO首脳会議にすでに3年連続で招かれている。今年の会議では欧州とインド太平洋の協力の必要性が特に重要になっているとの指摘が相次いだことから、NATOによる4カ国招請も事実上定例化されている格好だ。
このような状況変化を受け入れ、IP4は今年初めて、北朝鮮とロシアの協力を強く批判する共同声明を発表した。ただし、NATOのアプローチとは大きな違いがある。10日に発表されたNATO首脳の共同宣言は、ロシアだけでなく中国の脅威を同時に強調しつつ糾弾しているが、4カ国は朝ロの軍事・経済協力のみに批判の焦点を当てている。中国を刺激しないようにしているのだ。
中国はこれまで、インド太平洋地域においてNATOのような軍事同盟が結成されてはならないと繰り返し強調してきた。中国外交部の林剣報道官は11日にも「NATOはアジア太平洋地域にも手を伸ばし、中国の周辺国家と米国の同盟諸国との軍事安全連係を強化している」とし、これは「中国の利益に損害を与えるとともに、インド太平洋地域の平和安定を破壊するもの」だと強調している。
ウクライナ戦争が発生した決定的な要因は、NATOの過度な「東進政策」がロシアの安保利益を脅かしたことだ。これをみても明らかなように、中国をいたずらに包囲、排除し、不必要な対立を誘発すれば、さらなる対立が発生する恐れがある。政府はIP4が中国と柔軟な関係を構築できるよう、うまく誘導していくべきだ。