北朝鮮向けビラ散布に対する韓国政府の無対応を批判してきた京畿道(キョンギド)が、散布が予想される地域に特別司法警察官を投入して監視を強化するなど、直接取り締まりに乗り出すことにした。状況が悪化する場合には、京畿道内の一部の南北境界地域を危険区域に指定することもありうるという意思も明らかにした。
京畿道のキム・ドンヨン知事は11日、京畿道庁災害安全状況室で「緊急関連機関対策会議」を開き、「朝鮮半島の緊張が高まっている。道民、国民保護のための共助が至急必要な状況」だとし「直ちに北朝鮮向けビラの散布が予想される地域に特別司法警察官を出動させ、巡察と監視を強化するようにする」と話した。特別司法警察官とは、特殊な分野の犯罪に限り警察と同じ強制捜査権を持って捜査を行う行政公務員で、所属機関長の要請と管轄地検長の指名で任命される。
キム知事は「境界地域の安全保障状況が悪化した場合、災害発生の憂慮段階とみなし、関連法令により危険地区に指定してビラ散布行為を取り締まる計画」だと明らかにした。同日の会議には、軍、消防、警察関係者をはじめ、金浦市(キンポシ)、漣川郡(ヨンチョングン)、坡州市(パジュシ)、抱川市(ポチョンシ)の副団体長が出席した。
これに先立って6日午前1時ごろ、脱北者団体「自由北韓運動連合」は、京畿道抱川市で、北朝鮮向けビラ20万枚を奇襲的に撒いた。だが、韓国政府は何の事前措置もせず、警察と抱川市も一貫して消極的な対応だった。結局、北朝鮮へのビラ散布は9日の北朝鮮からの追加の汚物風船投下につながった。これに対しキム知事は10日、フェイスブックに「(韓国政府は)北朝鮮向けビラ散布を傍観するのではなく、実質的措置を講じるべきだ」と書き込み批判した。
キム知事が危険地区の指定などに言及しただけに、境界地域を中心に北朝鮮へのビラ散布を止める直接的行政措置がとられるとみられる。京畿道はイ・ジェミョン知事の時代の2020年6月、災害および安全管理基本法を根拠に、高陽(コヤン)・金浦・漣川・坡州・抱川を危険区域に指定し、ビラ散布者の出入りを阻む行政命令を下している。当時、京畿道はこの地域にビラ散布者が入ってきた場合、特別司法警察官が現場で逮捕するようにし、脱北者団体について警察に捜査を依頼した。
京畿道は北朝鮮向けビラの散布を止めるため、屋外広告物法と廃棄物管理法の適用も検討している。屋外広告物法は地方自治体の許可を受けていないビラを掲示したり掲載したりした場合、500万ウォン(約57万円)以下の過料を賦課するとしている。廃棄物管理法は廃棄物処理申告をしない場合、100万~1千万ウォン(約11~114万円)の過料を賦課するよう定めている。