本文に移動

韓国政府、「汚物風船」に対抗し拡声器放送再開…南北、「強対強」対決の悪循環へ

登録:2024-06-10 05:49 修正:2024-06-10 07:06
北朝鮮向け拡声器放送は北朝鮮が最も敏感に反応する心理戦
政府が北朝鮮向け拡声器放送を再開した9日午前、京畿道坡州市の南北境界地域に北朝鮮向け放送拡声器があった軍事施設物が依然として残っている。この施設(右側)内に拡声器が設置されたかどうかは確認されていない=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が再び汚物風船を散布したことに対応し、韓国政府は北朝鮮向け拡声器放送を直ちに再開した。北朝鮮が敏感に反応する強力な対北朝鮮心理戦カードを政府が6年ぶりに切り出したことで、南北の相互作用で軍事的緊張が高まる悪循環がさらに進んでいる。北朝鮮は同日夜にも汚物風船と推定される物体を韓国に向け飛ばした。

 合同参謀本部はこの日「韓国軍は今回の北朝鮮の汚物風船散布に対し、警告したとおり本日午後、拡声器放送を実施した」と発表した。軍は同日午後5時頃から約2時間にわたり最前線地域で、軍が運営する固定式拡声器を通じて北朝鮮向けラジオ「自由の声」を放送した。合同参謀本部は「韓国軍が拡声器放送をさらに実施するかどうかは、あくまでも北朝鮮の行動にかかっている」としたうえで、「このような事態のすべての責任は北朝鮮にあることを明確にし、汚物風船散布など卑劣な方式の行為を直ちに中断することを強く求める」と述べた。

 これに先立ち、政府は同日午前、チャン・ホジン国家安保室長の主宰で緊急国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、「今日中に北朝鮮向け拡声器を設置して放送を実施する」と発表した。キム・スギョン大統領室報道官は、「われわれが取る措置は、北朝鮮政権には耐え難いかもれないが、北朝鮮の軍と住民にとっては光と希望のニュースを伝えるだろう」とし、「今後、南北間の緊張が高まった責任は、あくまでも北朝鮮側にあることを明確にする」と警告した。

 これに先立ち、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は4日、9・19南北軍事合意の全面的な効力停止案を裁可し、北朝鮮向け拡声器放送などを行えるようにした。拡声器放送の再開は2018年4月に南北首脳の「板門店宣言」によって拡声器を撤去してから6年ぶりのことだ。

 拡声器放送の再開という強力な対応を決めたことについて、大統領室の関係者は記者団に「北朝鮮が明らかに大韓民国の社会を混乱させ、国民の不安を加重させる行為をしている以上、政府としてもじっとしているわけにはいかない」と述べた。韓国と北朝鮮の対話チャンネルが断絶した状態で、政府が強硬態勢で応酬し、「強対強」対決へと突き進む様相だ。北朝鮮の対応によって軍事的衝突につながりかねないという懸念も高まっている。

 これに先立ち、北朝鮮は8日夜から9日午前まで330個余りの汚物風船を韓国に向けて飛ばし、このうち80個余りが京畿道、江原道などの地域に落下したと、合同参謀本部が発表した。韓国の民間団体が6日から北朝鮮に向けてビラを散布したことに対する報復措置とみられる。合同参謀本部は9日午後9時40分頃、「北朝鮮が汚物風船(推定)を再び飛ばしている」とし、「京畿北部地域から東に移動している」と発表した。北朝鮮による汚物風船の散布は先月28~29日、今月1~2日、8日夜~9日午前に続き4回目だ。

チャン・ナレ、クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1144089.html韓国語原文入力:2024-06-09 22:38
訳H.J

関連記事