法務部は、早ければ来週にも大規模な検察の中間幹部人事を発表するとみられる。検察の内外では、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人のキム・ゴンヒ女史の捜査を指揮していた検事長を大挙交代させたのに続き、捜査を担う第一線の部長検事の首すらすべて「すげ替える」との見通しが示されている。そうなれば、「キム女史の捜査をやめろ」という尹大統領の意向がさらに明確になり、龍山(ヨンサン)と検察との対立が再燃する可能性がある。
15日のハンギョレの取材の結果、法務部は前日、司法研修院第34期の検事たちに対し、次長検事人事検証同意書を作成するよう要請していた。また、検察の内部通信ネットワーク「イプロス」に「2024年高検検事級検事人事に関する公募職位および派遣検事公募」と題する文章を投稿した。これは、外部派遣検事の人事も行う予定だから希望者は志願せよということを意味し、大規模な定期人事の前に掲載する公告だ。13日にソウル中央地検長の交代など最高検察庁の検事(検事長)級人事を発表した矢先に、後続の人事作業に乗り出したのだ。
公募の締め切りは17日。法務部はこの手続きの終了後に、大規模な重要人事の前にこれを審議する検察人事委員会を開くものとみられる。検察のある関係者は「早ければ今週後半にも高検の検事(次長、部長検事)級人事が発表されるという話が出回っている」と語った。
今回の中間幹部人事は大規模なものとならざるを得ない。ソウル中央地検の第1~4次長検事などの主要補職者をすでに他所へ送り出しているため、空いたポストを埋めなければならないからだ。検察総長の手足となる最高検察庁の参謀のポストも一部が空いている。元部長検事の法曹人は「事実上の定期人事だと考えるべき。検察総長の任期を無視して検事長級の人事を大規模に実施したことで生じた重要ポストの空席を、連鎖的に埋めなければならない状況になっている」と話した。
最大の関心事は、キム女史に関する捜査を担当するソウル中央地検刑事1部と反腐敗捜査2部の部長検事を交代させるかどうかだ。ブランドバッグ受け取り疑惑とドイツモーターズ株価操作疑惑をそれぞれ捜査中のキム・スンホ刑事1部長とチェ・ジェフン反腐敗捜査2部長が赴任したのは昨年9月。交代となればわずか8カ月での交代だ。部長検事は主任検事とともに事件の捜査を直接担うため、彼らが交代させられれば捜査に支障が出ることは避けられない。
尹大統領と共に勤務した経験のある元検察関係者は、「(ソウル中央地検の)第1~4次長のうち、第1次長は少なくとも残しておくもの。ところが第1次長がキム女史の捜査をしているものだから、第1次長まで含めてすべて交代させてしまい、第1~4次長が全て空席となるという未曽有の状況が起きた。ソウル中央地検をマヒ状態にしてしまった」とし、「キム女史の捜査を担当する部長検事を交代させないつもりなら、このような検事長人事は行わなかっただろう。全面的に交代させるつもりだろう」と述べた。
検察の内外からは、中間幹部の人事でもイ・ウォンソク検察総長パッシング問題が再現されるだろうとの懸念が示されている。イ総長は今月11日にパク・ソンジェ法務部長官と会い、人事の時期を遅らせるよう要請したが、パク長官はやるともやらないとも答えず、2日後に突如として大規模な人事を断行した。イ総長は14日の出勤途上で後続人事について問われ、「私には分からない問題」と答えている。
キム女史の捜査チームの部長検事までもがいずれも交代させられれば、「キム女史の直接調査」という検察の方針も揺らぐ可能性がある。これらの捜査チームは現在、キム女史の直接調査は避けられないとの立場を固めているという。ソウル中央地検長と担当次長検事が替わったことで、「今月中の直接調査」という当初の日程は流れた、との観測が支配的だ。捜査日程が延びるほど、任期満了日が近づくイ総長の影響力も弱まらざるをえない。