韓国の与党「国民の力」が17日、ハン・ドンフン法務部長官に非常対策委員長を任せることにした。ハン長官は早ければ今週中に辞表を出すという。
与党関係者は同日、ハンギョレに「(議員はもちろん)院外党協委員長の大半が『今、ハン・ドンフン非常対策委員長体制で総選挙を正面突破しなければならない』とみている。(党は)できるだけ早くハン長官を(非常対策委員長に)任命するだろう」と述べた。党ではハン長官が辞職届を出し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がそれを直ちに受理する形で、早期に国民の力に入党すると予測した。大統領室高官は、ハン長官交代の可能性について、「党が様々な意見を取りまとめているので、(それを)よく見てから申し上げる」と述べ、含みを持たせた。
党内では「ハン長官が非常対策委員長職を固辞する恐れがある」という話も出たが、週末を経て「ハン・ドンフン非常対策委員長推戴論」が固まっているようだ。与党関係者は「釜に薪を燃やすと湯が沸くように、党員がハン長官の(非常対策委員長任命のために)焚きつけているから、出てくるはずだ」と語った。
「ハン・ドンフン非常対策委員長推戴論」は18日に開かれる院内外党員協議会の委員長連席会議でも取り上げられる見通しだ。キム・ファジン全羅南道党委員長はハンギョレに「全羅道地域は国民の力にとって得票率の厳しい地域なだけに、ハン長官のように人気のある人が来て、新風を巻き起こしてほしい。明日の連席会議でもこのような意見を出す予定だ」と話した。非常対策委員長は、党大会を代行する全国委員会の議決を経て、院内代表のユン・ジェオク党代表権限代行が任命する。ユン院内代表は同日、記者団に「党内の意見をまとめて結論を下す」とし、「十分な議論が必要だ」と述べた。
しかし、党内外では、ハン・ドンフン非常対策委員長体制は党刷新とは反対に進むことだとして、懸念が高まっている。
「尹政権の皇太子」のイメージの強いハン長官を「与党の総選挙の顔」に掲げるのは、尹大統領の変化という要求に反するためだ。ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長はフェイスブックに「『尹大統領のアバター』を再び党代表に仕立て上げたとして、その選挙がうまくいくだろうか」と批判した。チェ・ジェヒョン議員もハンギョレとの電話インタビューで、「検察出身の大統領に検察出身の非常対策委員長まで来れば、国民は(党政がいずれも)『検察中心に回っている』と考えるだろう」とし、「非常対策委員長は大統領に言いたいことを言って、違う声を出せることが重要だ」と語った。
慶北大学政治外交学科のオム・ギホン教授は「ハン長官が非常対策委員長になれば、党刷新にならないことは確実だ」とし、「国民の力は完全に『親尹(錫悦)』に向かうが、中道層では『これは与党が大統領体制に行くこと』だと考えるだろう。検察共和国のイメージがさらに固まるだろう」と話した。