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[寄稿]韓国、無能な政権と信頼を失った野党

登録:2023-12-11 09:04 修正:2023-12-11 11:53
ユン・ホンシク|仁荷大学社会福祉学科教授・ソーシャルコリア運営委員長
尹錫悦大統領が10月31日、国会施政演説に先立って開かれた歓談で、共に民主党のイ・ジェミョン代表と握手している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓国与野党が来年の総選挙の戦略作りに没頭している。政治評論家たちは「国政の安定か、政権審判か」をめぐってもっともらしい主張を広げる。まるで来年の総選挙の結果次第で、国家の運命と国民の暮らしががらりと変わるかのような錯覚を覚えるほどだ。

 しかし、いくら考えてもおかしな選挙だ。あと4カ月しかない選挙の争点が何なのか、見えてこないからだ。与党「国民の力」は、来年の総選挙で過半数の議席以上を確保してこそ与小野大を克服し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の主要な政策を力強く推進できると主張する。民生(国民の暮らし)の安定のための尹錫悦政権の政策が、多数政党である野党「共に民主党」の妨害で実現できなかったということだ。

 国民を馬鹿にしているようだ。韓国ギャラップが1日に発表した調査によると、調査対象者のうち尹錫悦大統領を支持するという回答は32%にとどまった。一方、不支持は60%に達した。今回だけではない。尹錫悦政権発足後、第1四半期を除いた過去5四半期(15カ月)の間、尹大統領の業務遂行を肯定的に評価した世論は30%台を超えていない。

 国民たちは、来年の選挙で国民の力が過半数の議席を獲得したからといって暮らしが好転しないことを知っている。実際、尹大統領と国民の力は「継ぎはぎ」になった「黄色い封筒法」の成立にも立ちはだかった。民生のための3大改革(労働・年金・教育)を成し遂げると意気揚々と宣言したが、尹錫悦政権は改革のためのまともな公論さえまとめることができなかった。尹錫悦政権が出した「情けない」国民年金改革案を見よ。庶民の暮らしを立て直すと言いながら、経済が厳しい時期に金持ち減税に踏み切り、お金がないと言って金融引き締めを実行することで景気をさらに悪化させる、とんでもない政府だ。めちゃくちゃだったジャンボリー大会や、小学校のクラス委員選挙よりも劣る2030万博釜山誘致の失敗過程をみれば、政府がまともに機能しているのかさえ疑わしい。

 長い説明は不要だ。尹錫悦政権は民主化以来最も無責任で無能な政府だ。なぜ国民たちが無責任で無能な政府の安定のために、来年の総選挙で与党「国民の力」を支持しなければならないのか、大統領と与党に聞きたい。大統領自ら徹底的に反省し、変化しなければならない。そうせずに与党が勝って無責任で無能な政権が安定すれば、国はどうなるのか。想像もしたくない。

 悲しいことは、だからといって他に代案があるわけでもないという点だ。尹錫悦政権を審判して「共に民主党」が勝つとしよう。何が変わるだろうか。文在寅(ムン・ジェイン)政権では与党として、尹錫悦政権では野党として、民主党がこれまで庶民の暮らしのために何をしたのかと、問わざるを得ない。民主党が来年の総選挙で勝利すれば、突然有能な民生政党にでもなれるのか。年金改革と、大統領が拒否権を行使した「黄色い封筒法」は、民主党が与党だった時に成立させなければならなかった法案だった。

 民主党が、野党の時は正義と改革の味方を装い、政権与党になれば平凡な人々と弱者の要求に片目をつぶってきたのは、一度や二度ではない。言葉を変え、国民との約束を破ることも日常茶飯事だった。2021年のソウル市長補欠選挙を見よ。民主党は自党の帰責事由で補欠選挙を行うことになった場合は候補を出さないという約束を破った。党憲まで改正して候補を出したが、惨敗した。

 その時反省したと思った。しかし、依然として心を入れ替えていないようだ。「連動型比例代表制」が議論されているのをみれば分かる。イ・ジェミョン代表は大統領選候補時代、連動型比例代表制を歪曲する衛星政党を禁止すると公約した。いま、イ代表が沈黙する理由はない。約束通りにすればいい。有利・不利を考えて言葉を変えて約束を破るなら、改革を望む国民のうち誰が民主党を支持するだろうか。

 尹錫悦政権を批判するのは簡単だ。無責任で無能な政権であるため、批判すべきことが山のようにあるからだ。民主党が批判しなくても、常識ある国民なら現政権の無責任さと無能さを知っている。民主党が来年の総選挙で勝って、2027年に政権を獲得したければ、国民が民主党に投票しなければならない明確な理由と信頼を与えなければならない。

 総選挙前に変わったことを立証せよ。損害を甘受してでも国民との約束を守る、信頼できる民主党の姿こそ、その出発点だ。多数党として民主党が展開していく民生政治を実感できるように示すのはその次の段階だ。

 歴史は、国民が左右どちらにも道を見つけられない時、全体主義のような極端な選択をしてきたと物語る。私たちがその道を進んでいないことを願う。

ユン・ホンシク|仁荷大学社会福祉学科教授・ソーシャルコリア運営委員長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1119818.html韓国語原文入力:2023-12-11 02:44
訳C.M

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