本文に移動
全体  > 文化

86年前に絶滅したと思われていたキンモグラ…ボーダーコリーが見つけた

登録:2023-12-05 06:29 修正:2023-12-05 11:46
1937年以降絶滅したと思われていたウィントンキンモグラが86年ぶりに発見された=ジャン・ピエール・ルルー提供//ハンギョレ新聞社

 第2次世界大戦後、姿を消して絶滅したと思われていたキンモグラが86年ぶりに発見された。今回、南アフリカ共和国ノロス港近くの海辺で発見されたウィントンキンモグラ(Cryptochloris wintoni)が最後に目撃されたのは1937年だ。キンモグラはつるつるした毛と目が退化した顔のせいで「ざっくりした顔の可愛いモグラ」として有名だ。

 キンモグラはアフリカ南部地域の土着種で砂を掘ってもぐりこむ習性を持った小型の食虫哺乳類。種によって大きさは異なるが、平均8~20センチほどで小さく、毛には脂っこい分泌物が流れ、体が「黄金色」を帯びることで知られる。脂分の多い毛並みが砂トンネル作りに大きく役立つという。砂の中に身を隠しているため、発見が難しい種でもある。21種のキンモグラのうち10種が絶滅の危機に瀕している。

野生動物保護活動家たちは2年にかけて南アフリカの西海岸地域を調査した=ジャン・ピエール・ルルー提供//ハンギョレ新聞社

 野生動物保護活動家たちは2年間の努力の末、ウィントンキンモグラを発見した。南アフリカ共和国プレトリア大学のサマンサ・ミンハルト博士と「絶滅危機野生動物基金(Endangered Wildlife Trust, EWT)」の活動家たちは、先月11日に発表された科学ジャーナル「生物多様性と保全」の最近号で、「南アフリカ西海岸の土壌環境DNA研究を通じて、深刻な絶滅危機に瀕したウィントンキンモグラの存在を確認した」と明らかにした。

 薄暗い地中で生活しているうちに目が退化したキンモグラは、音と振動を敏感に感知する。研究陣は地中を素早く掘って隠れるキンモグラを探すためにボーダーコリーの探知犬「ジェシー」の助けを借りた。嗅覚でキンモグラを探すように訓練を受けたジェシーは砂浜でキンモグラの匂いを嗅ぐと止まり、研究陣はこの時砂サンプルを採集した。

 研究陣は一日最大18キロメートルの砂丘を捜索し、計100個のサンプルを採集した。彼らは環境DNA技術を利用して、キンモグラが穴を掘って移動する時に砂に残された皮膚細胞、小便、大便、粘液などを検出した。その結果、砂からは2匹のウィントンキンモグラの跡が見つかった。研究陣は2021年の現場調査当時、ウィントンキンモグラを実際に目撃したが、キンモグラは種が違っても外見が似ているため、発見事実を確定できなかった。今回、環境DNA分析法を通じて最終的にウィントンキンモグラの遺伝子塩基配列を確認したのだ。

1937年以降絶滅したと思われていたウィントンキンモグラが86年ぶりに発見された=リワイルド(re:wild)提供//ハンギョレ新聞社

 EWTの活動家、コバス・テロン氏は「多くの人々がウィントンキンモグラが生きているという事実を疑ったが、私にはまだ絶滅していないという確信があった。私たちはウィントンキンモグラがまだ生きているというミステリーを解いただけでなく、絶滅危機に瀕した他の種を調査できる環境DNA追跡法を見つけた」と、英紙「ガーディアン」に語った。環境DNA分析は生物が環境に残す極微量の遺伝子を増幅し、どんな種なのかを見分ける研究法だ。

 研究チームは今回の研究を通じて、ウィントンキンモグラの生存を確認しただけでなく、絶滅の危機に瀕した他の3種のキンモグラの個体群も発見した。彼らはウィントンキンモグラが発見されたノロス港近くに健康な個体群が生息していると推定している。ただし、この地域はダイヤモンド鉱山がある採掘地域で、キンモグラの生息地が脅かされていることが分かった。

引用した論文: Biodiversity and Conservation, DOI: 10.1007/s10531-023-02728-2

キム・ジスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/animalpeople/wild_animal/1118938.html韓国語原文入力:2023-12-04 22:14
訳H.J

関連記事