田舎の森に住んでいると思われていたヘビが、最近ソウルと首都圏に相次いで出没し、大騒ぎになっている。15日、ソウル麻浦区(マポグ)のあるマンション団地で子どもたちがヤマカガシを発見し119救助隊が出動しており、10日には京畿道一山(イルサン)のあるマンションでヘビが電気設備に触れて一時電気供給が中断された。昨年は漢江(ハンガン)公園を散歩していたペットの犬が毒蛇に噛まれて前足が壊死する事件もあった。
このようにヘビが頻繁に出没するようになった理由は何だろうか。実際、以前より都市に多く現れているのは事実だろうか。
18日、本紙の「アニマルピープル」が消防庁から入手した資料によると、この4年間に全国119安全センターでヘビ出没の通報を受けて出動した件数は計3万3000件余りだった。年度別にみると、2018年5781件、2019年7279件、2020年9400件、2021年1万759件で、増加傾向にある。これは河川や草地、都心などからの通報で出動した全体件数だ。
この4年間にソウル・京畿地域の119安全センターでヘビ出没の通報を受けて出動した件数は計9638件。ソウルは2018年230件、2019年269件、2020年357件、2021年345件だった。京畿道は2018年1473件、2019年1829件、2020年2424件、2021年2711件だった。
ソウル市漢江事業本部が共に民主党のチン・ソンジュン議員に提出した資料によると、ソウルの場合、2022年8月から今年5月まで計37件のヘビに関する通報があった。消防庁は通報が増えたことに対し、「様々な環境的要因が考えられるが、都心でヘビが出現することが例外的なので、積極的な通報につながる傾向がある」と説明した。
野生動物のヘビの個体数と出没頻度を正確に把握することはできない。ただし、ヘビが産卵のために移動する時期が5~6月であり、都心の場合は緑地が多くなってヘビが生息しやすい環境が増えたことで、人目につくケースが多くなったものと推定される。
国立生態院絶滅危機種復元センターのパク・チャンドク専任研究員は「この時期に最もよく見られるヘビはサラサナメラ、ヤマカガシ、ウスリーマムシなどだ。ヘビは垂直移動をする動物で、冬には山に登り暖かくなると低い地帯に降りてくる習性がある。特に5~6月はヘビが産卵のために移動する時期」だと話した。今回、麻浦区のマンションに現れたヤマカガシは、模様が美しいという意味で「花蛇」と呼ばれている。韓国や中国、日本、ロシア東部などに分布し、毒のないヘビとして知られているが、喉の近くの奥歯に毒を持っている。
主に河川や耕作地、草地に生息するヘビが都心に現れるのは、ヘビが住みやすい環境が作られたためだと、パク専任研究員は説明する。「都心公園やマンションに緑地が過去より多く作られ、ヘビが好きな陰、草むらが増えたのが一因だ。また、このような環境がヘビの餌になるネズミやカエルにも適しており、エサが豊富であると考えられる」と語った。
都市の生態系が豊かになったことは肯定的だが、ヤマカガシやウスリーマムシなどは毒を持ったヘビで注意が必要だ。ヘビは臆病で隠匿性向が強いが、脅かされたり退路が塞がったりすると、攻撃する場合もある。消防庁は「ヘビは音と振動に敏感だ。ヘビに遭遇した場合は、地面を叩いたり大声を出したりするなど刺激を与える行動を避け、その場に立って蛇が他のところに行くまで待つか、他の方へ迂回すべき」と伝えた。
もし毒蛇に噛まれたら、119番通報した後、噛まれた部位を心臓より低い位置に来るようにして動きを最小化しなければならない。できれば噛まれた部位の上を紐やハンカチで結ぶと良い。
しかし、毒蛇といっても理由もなく攻撃することはあまりない。専門家らは、ヘビに対して過度に恐怖感や偏見を植え付けるのは避けなければならないと指摘する。ソウル環境連合のキム・ドンオン政策局長は「ヘビは食物連鎖の中間捕食者として上位と下位を連結する重要な生物種だ。人に不便を及ぼすとの理由で、ヘビに有害生物というレッテルを貼り、無分別に捕獲すると、生態系のバランスが崩れる恐れがある」と警告した。
そして最近、漢江公園のヘビ出没の通報件数についても綿密に調べる必要があると強調した。キム政策局長は「8回にわたる漢江生態系調査で確認されたヘビの個体数は10~11匹程度だった。通報が37件もあったのは、ヘビの生息地を通っていた市民の通報が重複して受け付けられ、その数が増えた可能性が高い」と付け加えた。