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尹錫悦大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史が国連軍参戦の日および停戦協定70年を迎えた7月27日、釜山南区の国連記念公園を訪れ、国連軍慰霊塔を参拝するために移動している＝大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

　尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の義母、チェ・ウンスン被告の法廷拘束と、ソウルと楊平（ヤンピョン）を結ぶ高速道路の終点が変更された疑惑を機に、特別監察官任命を求める声が高まっている。ところが、「特別監察官制の正常化」を公言した大統領室は「国会の推薦が必要」として消極的な態度を示している。

　野党「共に民主党」のクォン・チルスン首席報道担当は31日、国会で記者団に「現職大統領の義母が犯罪で法廷拘束されたのは前例のないことなのに、釈明し謝罪すべき尹錫悦大統領と大統領室は沈黙を守っている。楊平の孔興（コンフン）地区開発特恵疑惑で（尹大統領の）義弟が取り調べを受けており、ソウルと楊平間の高速道路の終点を変更して妻の家族に利益を与えたという疑惑が深まっている」とし、「権力で大統領の親戚の犯罪容疑を隠すつもりでないなら、本人が約束した特別監察官を導入すべきだ」と述べた。同党のイ・ジェミョン代表も「法に則り合理的な議論を経て（特別監察官の任命を）決めるのが望ましい」という立場を示した。

　与党「国民の力」でもユ・スンミン前議員が同日、「韓国放送（KBS）」のラジオ番組とのインタビューで、「すべてを透明にし、大統領の親戚、大統領室の職員が特別監察官の監察を常時受ける体制に移行しなければならない」とし、特別監察官の任命を求めた。

　特別監察官は大統領の配偶者と4親等以内の親族、大統領秘書室の首席秘書官以上の公務員などの不正を監察する。特別監察官法は、国会が判事、検事出身や弁護士として15年以上の経歴を持つ弁護士のうち3人を候補に推薦すれば、大統領が1人を指名し、国会人事聴聞の手続きを経て任命するよう定めている。

　しかし、特別監察官は朴槿恵（パク・クネ）政権時代の2016年9月、ウ・ビョンウ当時民情首席の不正疑惑を監察したイ・ソクス初代特別監察官が退いた後、7年近く空席となっている。文在寅（ムン・ジェイン）政権時代、与党だった民主党が当時導入予定だった高位公職者犯罪捜査処（公捜処）と業務が重なるとの理由で、特別監察官の候補を推薦しなかったためだ。

　大統領室は消極的な態度を示している。大統領室の主要関係者は記者団に対し、「特別監察官というポストは国会で与野党が合意し（推薦する候補を提出して）来なければならないが、いま国会からは何の要請もない」とし、国会に責任を転嫁した。別の大統領室関係者はハンギョレに「民主党が本当に特別監察官を任命する意志があるのか、それとも政治攻勢のための手段と考えているのかが重要だと思う」とし、「文在寅政権は5年間任命しなかった」と語った。

　これは昨年、尹大統領が次期大統領時代に示した態度とは異なるものだ。昨年3月、キム・ウンヘ次期大統領報道担当は「尹次期大統領は常に一貫している。法と原則が本人をはじめ誰にでも例外なく適用されなければならないという意味」だとして、特別監察官制度を正常化する考えを明らかにした。大統領室は同年5月にも特別監察官制度の存廃をめぐり論議が巻き起こったことを受け、「特別監察官制度が存在する限り、必ず実施しなければならない」と述べた。

　与党「国民の力」はユ・サンボム首席報道担当の論評で、「ずっと職務遺棄を続けてきた民主党が、何の面目があって特別監察官の導入を主張するのか」と述べ、民主党を批判した。同党は昨年8月、「特別監察官と北朝鮮人権財団理事の推薦は同時に行うべきだ」という条件を掲げた。2016年9月、北朝鮮人権法制定によって発足が決まった北朝鮮人権財団の理事は、12人のうち10人を与野党が5人ずつ推薦し、統一部長官が任命することになっている。