最近、日本円に対する関心が高まっています。円がかなり安くなっているからです。消費者は後に旅行する際に使ったり、為替差益(為替レートの変動によって生じる利益)を得たりするために円を買っています。日本株を買う投資家もいます。ところで、円は今買っても大丈夫なのでしょうか。円安は韓国経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか。経済担当のチョン・ナムグ論説委員に聞きました。
[The 1]円は今からでも買っておいたほうがよいのでしょうか。
チョン・ナムグ委員:円が相対的に安くなっているのは、日本はマイナス金利である一方、米国は金利を引き上げ続けているからです。米国の連邦準備制度理事会は今月、金利を据え置き、その際に、今年中の2回の追加引き上げの可能性に言及しています。円安はもう少し進むでしょうが、最終段階を迎えつつあるようです。昨年9月に1ドルが150円まで急落した際には、日本政府が攻撃的な介入を行って急激に戻したことも覚えておくべきです。
[The 2]円安は韓国企業にとっても良いことではありませんよね。やはり円が安いと、韓国と競争している日本企業の方が製品を輸出しやすくなりますから。
チョン:韓国貿易協会が去年5月に発表した報告書によると、韓日の「輸出競争度」(両国の輸出構造の類似度、競合関係を示す指標)は2015年の0.487から2021年には0.458になるなど、低下し続けています。昔ほど韓日の製品が世界市場で競争することはないということです。
もちろん米国の自動車市場のように、韓日の企業が激しく競争している市場もあります。そのような市場では韓国企業が円安で不利な位置に立たされるでしょうが、輸出と経済全般に大きな悪影響を及ぼすほどではないということです。実のところ特に対策の取りようもありません。受け入れる以外ありません。
[The 3]日本にとって円安が不利になる点はないのでしょうか。
チョン:円安は輸出企業にとってはよいことです。製品の値段を下げられるので、より多く売ることもできます。販売が増えなくても、同じ額のドルを円に変える際には、より多くの円が得られます。採算が向上するのです。
いっぽう原材料を多く輸入する企業や国民には不利です。1月には「サクマ式ドロップス」を作っていた114年の伝統を持つ佐久間製菓が、原材料価格の上昇と円安を理由に廃業してもいます。日本も4月の消費者物価上昇率が3.4%に達するほど、国民は物価高に直面しています。円安が物価上昇の幅をより拡大した面があります。
[The 4]日本政府はなぜそのように円安を誘導する政策を展開しているのでしょうか。
チョン:円安を自ら誘導したというよりは、資金を供給して金利を低く保つとともに、消費を誘導するというのが日本政府の政策です。物価上昇率を2%台に引き上げるという目標を掲げてです。デフレ(物価下落)から脱出するためにはそうしなければならないということです。
日本は短期金利をマイナスに、長期金利(10年満期の長期国債金利)を0.5%以下に抑えて資金を供給しています。そのため、他国との金利差が広がると円安になります。米国がコロナ禍以降にインフレ(物価上昇)を抑制するために金利を引き上げ続けたことで、その影が円安として明確になったのです。
[The 5]先日、日経平均株価は1990年代初めのバブル崩壊以前の水準を回復しました。アベノミクスの効果が今になって現れているのでしょうか。
チョン:アベノミクスによる経済活性化ではなく、主に円安の効果だと考えるのが正しいでしょう。国際原材料価格の上昇で業績が上向いた総合商社の株価が大幅に上昇しました。円安で採算が改善すると期待される輸出企業の株価も高騰しました。日経平均は円で表示されます。ドルに換算してみると上昇率はかなり下がります。国際通貨基金(IMF)による今年の日本経済の成長率見通しは1.3%です。例年より若干良いぐらいですよね。来年は再び悪化するだろうと警告されてもいます。