「変化した中国をどのように相手にすべきか」
今月24日で中国との国交正常化30周年を迎える韓国だけの悩みではない。類例のない超高速経済成長の末に主要2カ国(G2)に浮上した中国は、攻勢的な外交・貿易政策を強化しており、中国との関係設定をめぐり世界各国の悩みが深まっている。
米国の世論調査専門機関ピュー・リサーチ・センターが、米州、欧州、中東、アジアなど19カ国を対象に実施し6月末に公開した「中国認識度」の最新世論調査結果を見てみよう。調査対象国全体の回答者の平均好感度は27%だった反面、非好感度は67%。低くなった「好感度」は、中国の「力と影響力」に対する警戒心の高まりにつながっている。調査対象国の平均回答者の66%が「中国の影響力がますます大きくなっている」と答えている。その真ん中に韓国がある。
外交部とKOTRA(大韓貿易投資振興公社)などの資料を総合すると、1992年の国交正常化直後、韓中間の貿易総額は年間64億ドルにすぎなかったが、昨年は輸出が1629億ドル、輸入が1386億ドルでと、貿易規模は3015億ドルまで高まった。わずか30年足らずで両国の交易量が47倍以上になったという意味だ。昨年末現在、中国は韓国の一番の貿易国だ。
世界銀行の資料によると、1992年には366ドルだった中国の1人あたりの国民所得は、2020年には1万500ドルへと28倍以上になった。同期間、韓国の1人あたりの国民所得も8126ドルから3万1489ドルへと4倍近くになった。
30年前は低開発国だった中国は、名実共にG2に浮上した。中進国だった韓国は、れっきとした先進国に跳躍した。韓中国交正常化は双方に利益をもたらした。ニンニク騒動(2000年)、東北工程(2002年)など紆余曲折がなかったわけではないが、敵性国だった両国が戦略的協力パートナー(2008年)にまでなったのだ。2016年に韓米が在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を決定したことをめぐり、破裂音が出始めるまでは。
THAAD事態などを経て両国の感情も悪化した。ギャラップの調査で、中国の習近平国家主席に対する韓国人の好感度は、2014年7月は59%だったが、2021年11月には8%まで下がった。2018年12月に「韓中日3国協力事務局」が発表した各国1000人対象の調査の結果、韓国が親密だと答えた中国人は40%未満(39.5%)だった。
「依存」は相互的だ。昨年の尿素水不足問題で、中国への貿易依存度に対する懸念が改めて浮き彫りになった。互いに1、2位の貿易相手国であるため、裏返してみれば韓国に対する中国の貿易依存度も小さくないことが分かる。韓国の半導体輸出の約60%を中国が占めているということは、中国が韓国製の半導体に大きく依存しているという意味でもある。
安保のために経済を放棄できないように、経済のために安保を犠牲にすることはできない。そのため「安保は米国に、経済は中国に依存している」(安米経中)という二分法的図式は限界に達している。中国はTHAADを韓国圧迫のカードとして握っており、米国はグローバルサプライチェーン再編で韓国を自国側に取り込もうとしている。韓中間の重要な争点に浮上した、いわゆる「チップ4」と呼ばれる半導体サプライチェーン協議体への参加問題も、THAAD問題と同じように「二者択一」と考えてはならないのもそのためだ。
国交正常化以降、中国が変わった分、韓国も変わった。どちらか片側の一方的な要求や主張は、この30年間の互恵的な信頼を落とすばかりだ。米中対立の激化の中で激しい戦略競争を繰り広げている中国側も、これをよく知っているはずだ。韓国はどうか。
大統領選挙の時から「価値外交」の旗と「THAAD追加配備」を掲げ、親米・反中カラーを強く示してきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、就任後、韓中国交正常化30周年を迎える現在まで確立された対中外交戦略を提示していない。
亜洲大学米中政策研究所のキム・フンギュ所長は「過去とは異なり非常に複合的な相互依存の世界で関係が悪化すれば、それによる費用は思ったより相当大きくなる」とし、「尹錫悦政権の対外政策が、今後30年の韓中関係を左右しうる。あまりにも簡単に理念と価値に基づいて世界を二分法的に見るのは、現在の韓国が取るべき外交ではない」と述べた。米国と中国の間で韓国の体格に合った「バランス」を取らなければならないという話だ。