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歩いてヘルソンを脱出した市民たち「ロシア軍人らは私たちを奴隷扱い」

登録:2022-05-13 09:42 修正:2022-05-13 09:56
今月11日(現地時間)、ウクライナ軍がロシア軍に強力な反撃を加えているハルキウで住民たちが自転車を引いて歩いている=ハルキウ/UPI・聯合ニュース

 親ロシア地方政府がロシアとの併合を要請したウクライナ南部の海岸都市ヘルソンは、日増しに荒廃しており、恐怖に震える一部の住民は歩いて都市を脱け出している。

 ターニャと名乗るヘルソン住民は11日(現地時間)、米CNN放送で、都市が徐々に死んでいっていると言い、肉体的にも精神的にも耐えがたい状況が続いていると語った。この女性は、武装したロシア軍人たちが都市のあちこちを巡察して恐怖を感じると言い「思いっきり息も吸えないなど、戦争前にしていたことができず、肉体的にとてもつらい」と訴えた。また、「商店の陳列棚は空っぽで、武装した軍人たちは都市中を歩き回っており、精神的にもつらい」と話した。さらに「多くの人が都市を脱出して午後3時になっても街はがらんとした状況」と伝えた。

 戦争初期の3月初めにロシア軍が占領して以降、新たに登場した親ロシア地方政府がロシアに領土併合を要請したことに関連して、この女性は「街で会って話をした人の中で、ロシアの一部になることを望む人はいなかった」と話した。

 「フランス24」放送は10日、ヘルソン住民たちがロシア軍の検問を避けて早朝に歩いて都市を抜け出していると報じた。ヘルソン近隣の都市ゼレノドリスクのドミトロ・ネベセリ市長は「住民が自動車に乗ってヘルソンを抜け出すのをロシア軍が阻んでおり、住民たちに戻るか歩いて都市を抜け出すよう要求している」と伝えた。このため、少なからぬ人々が数時間歩いて近隣の村に脱出しており、一部は危険を冒して自転車で移動していると同放送は伝えた。

 ウォロディミルと名乗るある高齢者は「かばん3つだけを持って明け方に妻と一緒に逃げてきた」と話し、他の人も検問されにくい明け方に抜け出していると伝えた。彼は「ロシア軍人たちは、私たちをまるで奴隷扱いするように乱暴にあしらった」と付け加えた。

 ウクライナ軍とロシア軍の交戦は、この日もマリウポリなど東南部地域とハルキウなど北東部地域を中心に続いた。特にハルキウでは、ウクライナ軍が急速にロシア軍を国境側に追い込んでいると、ロイター通信が伝えた。

 ウクライナ軍作戦参謀は同日、ウクライナ第2の都市ハルキウ北方の主要高速道路の周辺の村であるピトムニクをロシア軍から奪還したと明らかにした。ウクライナ軍関係者らは、ハルキウの北側でロシア軍に対する反撃の強度を高め、自国軍がロシア国境から数キロ離れた地域まで進撃したと述べた。ロシア軍は一時、国境から40キロほど離れたハルキウ市郊外まで進撃したが、最近ウクライナ軍の反撃が強くなり、急速に後退している。

 ウクライナ政府は東南部の都市マリウポリのアゾフスタリ製鉄所に閉じ込められている負傷兵士を救うため、ロシア軍捕虜と彼らの交換を提案したと、イリーナ・ベレシチュク副首相が明らかにした。副首相はソーシャルメディアを通じて、まだロシア側との合意には至っていないが交渉が進められていると述べた。そして、「軍事的手段を動員してアゾフスタリ製鉄所の封鎖を破ることは現在としては不可能であり、製鉄所内にいる兵士たちは降伏しないと言っている」とし、兵士を救う妥当な代案はないと付け加えた。

 製鉄所内にいるアゾフ大隊のスヴィアトスラウ・パラマル大尉はこの日、CNNに対し、製鉄所内に民間人は残っていないと明らかにした。これに先立つ10日、マリウポリのペトロ・アンドリュシチェンコ市長補佐官は、製鉄所の中に民間人がまだ100人ほど残っていると述べた。パラマル大尉は「我々が知っている限り製鉄所の中に民間人はいない」とし、内部状況を正確に把握するためには、一時休戦をして国際非政府機関の製鉄所への接近が許可されなければならないと話した。

 ウクライナのイリーナ・ベネディクトワ検事総長は、武装していない62歳の男性を射殺したロシア軍戦車師団所属の兵士ワディム・シシマリン(21)を、ロシア軍捕虜の中で初めて戦争犯罪の疑いで起訴したと明らかにした。シシマリンは2月28日、ウクライナ北部のスミ州チュパヒウカで車から銃撃を加え、民間人を殺した疑いが持たれている。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1042553.html韓国語原文入力:2022-05-12 14:57
訳C.M

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