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韓国法相候補の娘の「論文代筆」… ケニア人代筆作家「自分が作成した」

登録:2022-05-09 02:57 修正:2022-05-09 13:48
法務部長官候補に指名されているハン・ドンフン氏が先月13日、ソウル通義洞の引き継ぎ委員会で人選に関する記者会見を終え、会見場を去ろうとしている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 法務部長官候補に指名されているハン・ドンフン氏の娘の論文は、ケニア出身の「代筆作家(ghostwriter)」が作成したとの証言と、それに関連する情況が8日に確認された。ハン氏側は、娘の論文の作成と掲載に関して「娘が(高校)在学中に長期にわたって作成してきた文章を電子文書化するため、(オープンアクセス・ジャーナルに)にアップロードしたもの」と説明してきた。

 ハン氏の娘のHさんが2022年2月に全世界の社会科学分野の学術論文データベース「SSRN(社会科学ネットワーク)」に登録した4ページの論文「国家負債は重要か-経済理論にもとづく分析(Does National Debt Matter?-Analysis Based On the Economic Theories)」の文書情報(文書要約)を見ると、「執筆日」欄には2021年11月11日が、「著者」欄にはBenson(ベンソン)で始まる名が記されている。文書情報の「著者」欄には一般的に、文書を作成したパソコンあるいは使用者の名前が保存されている。本紙がこの学術論文データベースに掲載されている10本あまりの他の論文を確認したところ、著者欄には著者の名が記載されているか、空欄のままだった。他の人物の名が記されているものはなかった。

ハン氏の娘が2022年2月にSSRNに登録した論文の文書情報(文書要約)を見ると、「執筆日」には2021年11月11日が、「著者」にはBensonで始まる名が記されている=同論文をキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 本紙がグーグル検索などを用いてBensonを追跡したところ、この人物は米国で運営されているあるウェブサイトで自らを「経験豊富な代筆作家(experienced ghostwriter)と紹介していた。英国、ギリシャ、インドに基盤を置くあるフリーランサーのウェブサイトでは「分書作成や家庭教師の6年間の経験がある。ブログ、記事の作成、学術研究の作成、宿題などが可能」と述べており、論文や課題の依頼を受けていた。

Benson氏が米国のあるウェブサイトで自らを代筆作家だと紹介している=同ウェブサイトをキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 本紙はBenson氏のSNSアカウントにメッセンジャーでHさんの論文「国家負債は重要か(Does National Debt Matter?)」を送り、文書情報の著者欄にBenson氏の名があるが「あなたが作成したのか」と尋ねた。Benson氏は「2021年の11月初めに作成した(I did it at the beginning of November 2021)」と答え、自身のパソコンの文書リストを撮影して送ってきた。Benson氏が送ってきた写真からは「National Debt(国家負債)」、「National Debt-1_Comment(国家負債-1_コメント)」と題するワードファイルが2021年11月3日と4日に作成されたことが確認できる。Hさんの論文タイトルは「国家負債は重要か(Does National Debt Matter?)」だが、Benson氏の示した文書タイトルと核となるキーワードが共通する。また同論文の文書情報を見ると、作成日は2021年11月11日となっており、Hさんは2021年11月26日に海外の学術誌「ABC Research Alert」に掲載している。その後、Hさんは同じ論文を2022年2月2日に学術論文データベースSSRNに改めて掲載した。

Benson氏はハン氏の娘の論文を作成したのかとの問いに「2021年11月初めに作成した(I did it at the beginning of November 2021)」と答え、自身のパソコンの文書リストを撮影して送ってきた=Benson氏提供//ハンギョレ新聞社

 本紙は、Hさんの論文を作成した経緯などを取材するためにさらに質問を送ったものの、Benson氏は謝礼金をくれれば取材に応じると述べた。だが、本紙の取材報道規則は「取材源に対して情報提供や協力の対価として金銭的補償は行わない」と規定している。公職の候補となっている人物の検証取材を行う際に、情報提供の見返りとして取材源に金品を渡せば、取材倫理の問題が生じることなどを考慮し、本紙は謝礼金を支給せず、取材も中断することを決めた。

 Hさんの論文の文書情報の内容やBenson氏の陳述などは、ハン氏のこれまでの釈明と相反する。ハン氏は4日の本紙の「ハン・ドンフンの娘、高校1年生時代に2カ月で論文5本と電子書籍4冊書いた」報道後、「3年にわたり学校のリサーチ課題、高校生対象のエッセイ大会などを通じて書いたエッセイ、報告書、レビューペーパーなどをまとめて2021年11月ごろ以降に一度に、オープンアクセス・ジャーナルが要求する形式に合うよう脚注、フォントなどを整理しアップロードした」と説明している。そして「長期にわたり自ら作成した高校生水準の文章を『2カ月で論文5本、電子書籍4冊書いた』とし、あたかも高校生には不可能なことをしたかのように表現したことは、意図的なフレームアップを狙った歪曲、誇張であり虚偽」と主張している。

 だが、Benson氏が論文を代筆したと述べ、その時期を海外学術誌にHさんが論文を掲載した「2021年11月」と特定し、実際にHさんの論文の文書情報の著者欄にBenson氏の名が残っている点などを考慮すれば、ハン氏側の釈明をそのまま受け入れることは困難とみられる。

 娘の論文代筆疑惑についてハン氏側は本紙に対し「人事聴聞法の趣旨、未成年の子の保護の必要性などを考慮すると、候補(ハン氏)が関与していない未成年の子の詳細な活動についていちいち答えることはできないという点をご了承下さい」と述べた。

チョン・ファンボン、キム・ガユン、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1041913.html韓国語原文入力:2022-05-08 04:59
訳D.K

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