「米国政府の国際労働機関(ILO)基本条約の批准計画はどうなっていますか」
26日、9年ぶりに開かれた韓米自由貿易協定(FTA)労働協議会で、韓国政府が米政府に問いかけた質問だ。FTAで労働権保護は当事国の義務だ。韓国がILOに加盟する際に約束した条約批准を30年後の昨年に履行したことで、労働権保護に関連して「守勢」から「攻勢」に転じることが可能になったのだ。韓国は昨年、強制労働禁止など3つの条約を批准したことで、8つの基本条約のうち7つを批准したのに対し、米国は2つしか批准していない。これに対して米国側は、「批准した基本条約の数は少ないが、米国の労働関連法制度を通じて労働基本権を保護している」と説明したという。
雇用労働部は26~27日の2日間、オンラインで韓米FTA労働協議会を開き、FTAの「労働章」関連履行の成果を共有し、協力強化策について話し合ったと27日に発表した。韓米FTAの第19章である「労働章」は、公正な競争の環境づくりのために結社の自由や団体交渉権の効果的認定、雇用および職業上の差別撤廃など、両国政府の労働権保護義務を規定し、履行事項を確認するための労働協議会を運営するよう定めている。両国政府の労働省局長級で開催される労働協議会は、協定発効翌年の2013年に開催されて以来、9年ぶりに開かれた。ジョー・バイデン政権発足後、米政府は労組和解工作に対する処罰の強化をはじめ、労働基本権の強化を強調している。米通商代表部(USTR)は「2022年の通商政策課題と2021年の年次報告書」で「労働者の権利を擁護し、下方標準化に向けた競争を止めるため、貿易パートナーと協力する」と明らかにした。今回の労働協議会の開催もこれと関係があるものとみられる。
今回の労働協議会で、米政府は韓国政府に刑法と集会・示威(デモ)に関する法律などに基づき、労組幹部を拘束した点について質問した。これに先立ち、昨年11月、USTRのキャサリン・タイ代表は、アン・ギョンドク雇用労働部長官との面会で、ヤン・ギョンス民主労総委員長の拘束収監に対する懸念を示した。この他にも、韓国船籍の遠洋漁船における移住労働者の労働権保護増進措置に対する情報共有を要請した。
韓国政府代表のノ・ギルジュン雇用労働部国際協力官は、「労働権の増進という共同目標に向けた道しるべになるだろう」と評価した。また、米政府代表のテア・リー米労働省国際局副次官補は「労働権の増進に向けた両国間協力の新たな1ページになるだろう」とし、「生産的な議論と持続的な協力が行われることを期待する」と述べた。