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ウクライナのドンバス攻防戦、戦車動員した第2次大戦の様相になる可能性

登録:2022-04-21 07:34 修正:2022-04-21 08:05
ロシア軍とウクライナ軍の間で長きにわたり激戦が行われている南東部の要所マリウポリの街頭で、市民が19日に破壊された戦車の横を歩いている=マリウポリ/AP・聯合ニュース

 「ドンバスをかけた戦いは、数千台の戦車、飛行機、装甲車の大規模な機動を伴う第2次大戦のような戦闘になるだろう」(ウクライナのドミトロ・クレバ外相)

 20日に56日目に入ったウクライナ戦争は、東部ドンバスの領有権をかけた「第2段階」に移り、戦闘の様相も大きく変わった。クレバ外相が7日の北大西洋条約機構(NATO)外相会合で予言したように、キーウ(キエフ)などの人口が密集した都市を掌握するための「第1段階」から、戦車などを前面に出しドンバスの広大な地域を早期に占領する、第2次世界大戦時の戦闘に似た突破戦に変わったのだ。当時ナチス・ドイツは、開戦初期に戦車を前面に出す「電撃戦」でフランスを相手に驚くべき勝利をおさめ、北アフリカで行われたドイツと米国・英国との激戦や、ソ連とドイツの間のしのぎを削る独ソ戦も、戦車を前面に出した戦車戦だった。

 ドンバスでの戦闘が、かつての第2次世界大戦に似た戦車戦で行われるものとみられる理由は、ドンバス地域の独特な地形のためだ。大都市があちこちに位置し兵力の進撃を防ぐウクライナ北部とは違い、東部は広大な平地で構成されている。身を隠せる市街地や森がなく、防御は容易ではない。現在、ハルキウ州イジュームで激しい戦闘を行っているロシア軍は、そこを制圧した後、ドネツク州スラビャンスクに向けて南下するものとみられる。ランド研究所のスコット・ボストン上級軍事アナリストは、20日付の朝日新聞のインタビューで、「地形によって必要な戦力が変わる。平地なら戦闘機と戦車、防空システムが必要になる」と述べた。

 問題はロシアの戦力だ。ロシアはキーウなどを占領し、ウォロディミル・ゼレンスキー政権を除去しようとしていた第1段階の作戦で、戦車約500台を失ったと分析される。しかし、世界の軍事力を分析する機関「グローバル・ファイヤーパワー」の資料によると、ロシア軍の戦車保有台数は1万2000台で、ウクライナの2600台に大きく勝っている。

 ウクライナは、戦争の性格の変化を予測し、米国などに要求する兵器の性格を変えてきた。クレバ外相は7日のNATO外相会合で、ロシアの全面攻撃に対抗できるよう「我々はより多くの防空システムと、より多くの対戦車兵器、そしてより強力な兵器を望む」と述べた。それを受け、米国などの支援内容も変わった。米国などNATOはこれまで、少数の歩兵が隠蔽・遮蔽物の後ろに隠れ、敵の戦車や航空機を狙えるよう、携帯用対空・対戦車兵器を供給してきた。しかし最近になり、ロシアの機甲部隊に正面から対抗できるよう、大型の攻撃兵器を供給している。18日に欧州に到着した米国の支援兵器は、ロシア軍を相手に長距離砲撃が可能な155ミリメートル曲射砲18門と砲弾4万発、ロシア製ヘリコプター11機、装甲車200台、「自殺ドローン」 300台などだった。

19日、ウクライナの西部都市リビウで、住民と東部から非難してきた人々が避難所で復活節の卵に絵を描くイベントに参加している=リビウ/EPA・聯合ニュース

 NATOは一歩踏みだし、戦闘機も提供した。米国防総省のジョン・カービー報道官は19日の会見で、「ウクライナ軍は現在、2週前に比べ、活用可能な固定翼の戦闘機をより多く保有している。ウクライナは追加の飛行機と飛行機の部品を受けとっている」と述べた。ただし、どの国家がどのような機種の戦闘機をどの程度提供したのかについては、明らかにしなかった。

 一方、ロシア国防省は19日、「マリウポリのアゾフスタリ製鉄所で発生した災害の状況と純粋な人道的原則にしたがい、19日午後2時(モスクワ時間。韓国時間19日夜10時)からロシア軍は人道回廊を開いた」と明らかにした。マリウポリ警察局のミハイロ・ベルシニン局長は、「我々はロシア側ではなくウクライナに行くことを望む」として、これを拒否した。しかし、ウクライナのイリーナ・ベレシュチュク副首相は、20日午後2時からマリウポリで女性・子ども・高齢者のための人道回廊を開くことでロシアと合意したと明らかにした。

キル・ユンヒョン記者、ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1039786.html韓国語原文入力:2022-04-21 04:59
訳M.S

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