ロシアとウクライナの戦争以後、欧州を中心に液化天然ガス(LNG)大乱が起き、新たな供給ライン構築プロジェクトが相次いで推進されているのと同時に、韓国の鉄鋼業界が忙しくなっている。新規のLNG供給施設に必要な円筒形の鉄鋼製品である鋼管の需要が急速に増えているからだ。ロシア・ウクライナ戦争が鉄鋼業界には予期せぬ好材料になっている。
12日の鉄鋼業界の話によると、ポスコはLNGの移動用鋼管の生産に必要なステンレス厚板製品の供給拡大を急いでいる。ポスコは鋼管を直接作るのではなく、鋼管に使われる厚板を供給する。
世亜製鋼はLNGの新しい供給ライン構築プロジェクトを対象にした鋼管営業を強化している。世亜製鋼の関係者は本紙の電話取材に対し「最近ステンレス鋼管への問い合わせが急増している。グローバルLNGプロジェクトにさらなる納品の可能性を期待している」と話した。
鋼管は円筒形の鉄鋼製品で、主に送油管の建設に使われる。特にステンレス処理鋼管はサビに強く、極低温状態のLNGの移動用パイプの建設に適している。国内では世亜製鋼がステンレス鋼管を主に生産している。世亜製鋼は、全羅南道順天(スンチョン)や慶尚南道昌原(チャンウォン)などの工場で炭素鋼を含めステンレス鋼管を年間約22万トンずつ生産している。同社のイタリア工場でも特殊鋼管を作っている。
別のステンレス鋼管供給会社のヒュースチールは、今回の機会を活用して供給単価を引き上げた。同社の関係者は本紙に「ステンレス鋼管の供給単価を引き上げたが、需要があるため注文量はむしろ増えた」と話した。
現在、欧州では文字通り「LNG大乱」が起きている。新型コロナウイルス大流行以来、在庫がほぼ尽きた上に、ロシア・ウクライナ戦争で40%以上を占めていたロシア産天然ガスの供給が止まっているからだ。これを受け、アジアの方に向かっていたLNG輸送船が大規模な違約金を払って欧州に向かう事例が相次いでいる。違約金を払っても利益をさらに出せるほど、欧州内の天然ガスの需給状況が悪化したのだ。
LNGは石油・石炭を使用していた企業でも需要が発生している。LNGを相対的なエコエネルギーに挙げ、エネルギー源転換を急いでいる。あるエネルギー会社の関係者は、「ロシアとウクライナの戦争状況が終息した後もLNGの需要は増え続けるものと見込んでいる」と述べた。
欧州はもとより、米国でもLNGターミナルの建設が増えている。LNGターミナルのパイプラインは、運搬船と陸上貯蔵タンクを結ぶインフラを総じて言う。昨年末基準で、世界の新規LNGプロジェクト24件のうち、5件が米国で進められている。欧州は2021年基準でロシアのLNGの輸入量のうち3分の1ほどを他の大陸から持ち込む計画だが、その大半を米国から持ってくるという。いずれもステンレス鋼管が大規模に必要な事業だ。
鉄鋼業界の関係者は本紙の電話取材に対し「国内の鉄鋼業界としては好材料であり、恩恵を受けているといえる」と話した。米国が輸入する鋼管のうち23%は韓国から輸入している。