17日に人選を終えた尹錫悦次期大統領の大統領職引き継ぎ委員会(引き継ぎ委)には、女性、統一などの、過去の引き継ぎ委にはあった議題が分科の名称からも姿を消している。気候危機、教育、不動産などの次期政権の重要議題を担当すべき専門家も抜けている。
17日に発表された引き継ぎ委内の経済第2、科学技術教育、社会福祉文化の各分科の委員を見ると、必ず入っているべき女性、教育、気候危機、不動産に関する専門家集団が含まれていない。経済第2分科はKAISTのイ・チャンヤン教授が幹事に、同徳女子大学のワン・ユンジョン教授、元SK革新グループ長のユ・ウンファン氏、Aチームベンチャーズ代表のコ・サン氏が委員に任命されたが、彼らは産業通商資源部の元官僚か、大企業の役員や起業などを経験した専門家で、不動産とは縁遠い。
「女性」問題を担当する社会福祉文化の分科も状況は似ている。労働の専門家でもある国民の力のイム・イジャ議員が幹事を務め、尹氏の福祉公約の青写真を描いたソウル大学社会福祉学科のアン・サンフン教授、新型コロナウイルスへの対応を担当する成均館大学医学部のペク・キョンラン教授、ソウル市の政務副市長で「アン・チョルス系」のキム・ドシク氏が委員に名を連ねる。先に分科組織が発表された時にはすでに「女性」の名称の入った分科がなかったため、これを扱う社会福祉文化分科の人選に関心が集まっていたが、この日の人選には女性問題を担当する専門家は含まれていない。尹次期大統領の報道担当を務めるキム・ウンヘ氏はこの日、これについて問われ「イム議員が幹事の役割を果たしつつ、(労働分野に)重点を置いたうえで、女性分野も正確に扱うと考えている」とのみ語った。前回の2012年の朴槿恵(パク・クネ)引き継ぎ委は「女性文化」分科を設けている。
「尹錫悦引き継ぎ委」は、教育や気候変動への対応などの未来の議題に対する関心が足りないとの批判も受けている。この日発表された科学技術教育分科は、国民の力のパク・ソンジュン議員が幹事に、漢陽大学創意融合教育院のキム・チャンギョン教授とソウル大学材料工学部のナム・ギテ教授が委員に抜擢された。情報通信技術が専門のパク議員、李明博(イ・ミョンバク)政権で教育科学技術第2次官を務めたキム教授、2018年に「若い科学者賞」を受賞したナム教授は、全員が科学技術分野の専門家で、教育分野と気候変動対応の専門家は人選から完全に外されている。これは「科学技術大国」を前面に掲げたアン・チョルス引き継ぎ委員長の考えによるものとみられる。アン委員長は候補一本化前の公約として、教育部を廃止し、国家教育委員会が主要政策を決定するという内容を提案していたため、教育部廃止の可能性すら言及されている。
すでに15日に発表されている「外交安保」分科は、キム・ソンハン元外交部第2次官が幹事に、キム・テヒョ元大統領対外戦略企画官とイ・ジョンソプ元国防部合同参謀本部次長が委員に起用されている。キム元次官は米国の専門家で、キム元企画官は李明博政権で企画官を務めていた当時、「強硬な対北朝鮮路線」を助言した中心人物とされてきたため、統一関連事案が優先順位の上位から外されたのではないかとの批判があがっている。2008年の李明博引き継ぎ委員会には「外交統一安保」分科が、2012年の朴槿恵引き継ぎ委には「外交国防統一」分科が設けられていた。