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オミクロン株に「超強力封鎖」…中国はなぜ「ゼロコロナ」を放棄できないのか

登録:2022-03-16 07:06 修正:2022-03-16 08:41
14日、中国の上海で防護服を着た防疫要員らが、新型コロナの感染者の発生で統制された区域の近くで待機している=上海/AFP聯合ニュース

 ひたすら「清零」(ゼロコロナ)政策を維持している中国が、再び想像できないほど大規模な超強力封鎖に突入した。人口1750万人を誇る中国4大都市のひとつである広東省深セン市は、14日から1週間動きが止まり、人口800万を抱える吉林省長春市は、先週から封鎖中だ。「経済首都」である上海は小中高校生の登校を中断した。感染力が強いオミクロン株が広がり、ゼロコロナ政策を維持することが事実上不可能になっているが、中国政府は不動の姿勢だ。

 中国国家衛生健康委員会の資料によると、4日は175人にすぎなかった中国内の感染者数は、14日時点では5154人にまで増えた。感染者の大部分は感染力が強いオミクロン株の感染者だ。昨年末にオミクロン株が優勢株になり、米国や欧州はもちろん、「防疫模範国」に挙げられていた韓国も変わってしまった現実を受けいれ、「ウィズコロナ」政策に変わったが、中国は今もなお正反対の道を歩んでいる。中国はなぜ放棄できないのだろうか。

14日、新型コロナにより1週間封鎖された中国広東省の深セン市の道路を一部の市民が歩いている=深セン/AP・聯合ニュース

 一つ目の理由は、効力が劣る中国産ワクチンのためだ。中国は昨年、シノバックやシノファームなどの自国製ワクチンを開発し、ファイザーやモデルナなどの外国製ワクチンを導入しなかった。中国製ワクチンは、ウイルスを非活性化させ人体に注入し、抗体を作る伝統的な手法により製造された。安く保管と流通は容易だが、メッセンジャーRNA(mRNA)を利用するファイザーやモデルナのワクチンより効果は劣る。世界保健機関(WHO)の資料によると、ファイザー製ワクチンは新型コロナの感染を95%予防するが、シノファーム製ワクチンは51%の予防にとどまる。オミクロン株にも弱い。昨年末に香港大学が公開した研究結果によると、ファイザー製ワクチンの接種者25人のうち5人がオミクロン株の感染を防げたが、シノバック製のワクチン接種者25人は、全員が対応できなかった。ゼロコロナ政策を放棄するとなると、増加する感染者に対応しきれなくなる。

中国の1日あたりの新型コロナ感染者数の推移//ハンギョレ新聞社

 さらに大きな問題は、相対的に劣悪な医療施設と地域間の不均衡だ。中国は重症患者が治療を受けられる集中治療室(ICU)病床が極めて不足している。中国の医療メディア「中国衛生資源」によると、2021年の中国の集中治療室の病床数は、人口10万人あたり4.37床だった。これに対して、ドイツは29床、米国は35床、イタリアは12床だった。地域別格差も大きい。中国最大の都市である北京と上海は、全体の平均より1.5倍多い6.25床と6.14床だったが、吉林省・広西省・西蔵(チベット)は3床に満たなかった。甘粛省・江西省・河北省・福建省・安微省・海南省などは3.5床未満だった。重症患者が増えれば、死亡者の急増という最悪の結果につながりかねない。

 最大の理由は、習近平国家主席の3期目入りを控えた「政治的環境」だ。今秋開催される中国共産党第20回党大会で、習主席の3期目続投が決定される。中国は現在、国内外に対する政策のすべての焦点をそれに合わせ、安定基調の歩みを進めている。「再任5年、計10年」という中国共産党の最高指導者の在任の慣例を破るだけに、その過程で発生しうる変数を最小化しなければならない。

14日、中国江蘇省の常州市で、医療スタッフが住民に新型コロナの検査をしている=常州/AP・聯合ニュース

 しかも中国は、新型コロナの感染者数を世界最小の水準に維持した成果を、米国と欧州をしのぐ中国の体制の勝利だと宣伝してきた。国家衛生健康委員会疾病統制部の雷正竜局長は14日、「ゼロコロナ政策でオミクロン株に対応することが効果的」だとし、「オミクロン株は速く隠匿性が強いだけに、よりいっそう早期にいっそう速く、いっそう厳格に対応していく」と述べ、退かないという姿勢を示した。しかし、米国国際関係委員会の黄嚴忠グローバル保健首席研究員は「ゼロコロナ政策の根拠は、ワクチンを接種する時間を稼ぐこと」だったとし、「中国製ワクチンの効果が劣ることが明らかになり、少数の感染にも持ちこたえられなくなった」と述べた。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1034922.html韓国語原文入力:2022-03-16 02:30
訳M.S

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