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韓国、ニ倍、ニ倍、ニ倍、…「この傾向が続けば来週には1日感染者18万人に」

登録:2022-02-16 20:48 修正:2022-02-17 06:50
新型コロナの前日の新規感染者数が9万443人を記録し、10万人台を目前にした16日午前、ソウル市松坡区庁のモニターに感染者数が表示されている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が事実上今週にも社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の緩和を示唆した中で、一日の感染者は10万人に迫っている。16日0時現在、新規感染者は9万443人で過去最大規模となった。2月初めに2万人余りだった新規感染者は毎週ニ倍になり、16日には9万人台になった。この傾向が続けば、来週は18万人になる。政府がピークと捉えた「2月末13万~17万人」より規模は大きく、速度はさらに速い。防疫当局は、重症患者の推移は「安定圏」と強調するが、専門家は医療システム・社会必須機能の維持対策・自宅療養患者の管理システムなどがまだ不十分だと憂慮している。

致命率・重症者数を考慮しソーシャル・ディスタンシング決定を

 政府は本日18日、ソーシャル・ディスタンシング調整案を発表する。「私的集まり8人まで・飲食店の営業時間は夜10時まで」が有力で、現行より緩和されるとみられる。

 政府のソーシャル・ディスタンシング緩和の試みに、あちこちから懸念の声が聞こえてくる。昨年11月、重症者が増えている時点でこうした危険信号を無視して段階的に日常回復に入り、医療システムが事実上麻痺した経験があるためだ。これに対し、ソーシャル・ディスタンシングを調整する前に重症患者数や入院患者数などの指標を綿密に確認すべきとの分析が出ている。

 重症患者は先月29日以後200人台だったが、14日に300人台に増えた。この日も前日に比べて1人減りはしたが、313人だった。入院患者も2日の1202人からこの日は1686人まで上昇した。ただし重症患者率は国外に比べて高くないというのが防疫当局の説明だ。韓国の人口100万人あたりの重症患者数は6.0人だが、米国(46.3人)、フランス(49人)、ドイツ(29.5人)、カナダ(23.7人)、英国(6.1人、2月11日基準)、日本(14.6人、2月9日基準)に比べて少ない。

 重症患者の増加とともに致命率も高まっている。先月31日に0.15%だったオミクロン致命率は、12日には0.19%になった。防疫対策本部のパク・ヨンジュン疫学調査チーム長は同日午後のブリーフィングで「ワクチン接種後の免疫減少とあいまって60代以上の発生者数比率が増加している状況」とし「重症化しやすい集団(高齢層)の規模が増加し、それに合わせて小幅だが致命率が上昇している様相」と説明した。

 感染者数増加と重症患者指標からみて、専門家たちはソーシャル・ディスタンシング緩和の「慎重論」を訴えている。チョン・ジェフン嘉泉大学教授(予防医学)は「リスクを最小化する方向で防疫を緩和することが重要だ」として「医療システムの備えを考慮して(拡散の)ピークまでは(防疫緩和のような)いかなる信号も与えないのが安全だ」と話した。

重症病床73%余裕?…看護師20%が退職した状況

 社会の必須機能分野で集団感染が続いていることも問題だ。新型コロナの流行状況で、必須で維持されなければならない病院・医療機関関連での集団感染も続いている。全羅南道宝城郡(ポソングン)のある医療機関では、この日16人が追加で感染し合計97人が感染しており、釜山西区(ソグ)の別の医療機関でも51人が集団感染した。これに先立って中央事故収拾本部・中央防疫対策本部は、先月27日に設けた「病院内医療スタッフの感染に備えた医療機関業務連続性計画(BCP)指針」を各病院に配布した。一日の感染者が5万人以上などの「危機」段階に入れば、予防接種を完了した医療スタッフは陽性になっても無症状・軽症ならば3日間の隔離後に迅速抗原検査を受け、勤務が可能になるというのがその骨子だ。

 医療機関BCPによれば、感染者が9万人を超えた現在は、病院の判断により「危機」段階対応ができる。だが、第一線ではこうした対策は現場で実現されにくいと指摘する。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「(医療スタッフの)隔離期間を縮めて運営した時、他の患者が(感染した)職員を通じて感染したら責任を誰が負うのか」として「医療機関が責任を免れないという問題が足かせになっている。この問題に対する行政的決定が用意されていない」と話した。前日午後5時現在、重症患者用病床の稼動率は27%で余力があるが、この数値が「本当の数値」なのかも調べる必要がある。病床の73%は空いているが、その病床を運営する医療スタッフがいるかという別の問題があるためだ。オム教授は「看護師を中心に20%程度がオミクロン流行直前の安定期に病院を辞めた」として「自身の退職で病棟に空白ができるかと退職を延ばしていた人たちが、その時期にそろって辞めて行った」と説明した。

一般管理群、移送・管理システムが重要

 17日から始まった集中管理群中心の自宅療養システムももう一つの変数だ。60歳以上・「経口治療薬」投薬者のうち、地方自治体が管理必要と判断した人(免疫低下者、50代以上の基礎疾患者)でない一般管理群は、定期的なモニタリングを受けられない。この日基準で自宅療養者は26万6040人で、17日からモニタリングをしない自宅療養患者は20万人余りになるとみられる。

 そのため、自宅療養者に正確な情報を伝えると同時に、悪化した際の診療・処方・移送をするシステムが重要だ。ソウル大学のキム・ユン教授(医療管理学)は「どんな症状がある時に何をすべきというユーチューブ動画や指針があることが望ましい」とし「(悪化した時)自家用車で移動しなければならないが、(防疫タクシーなど)移動手段をもっと増やす必要があると思う」と話した。

 オミクロンへの対応システムを導入し、保健所の人材などをハイリスク群に集中しているが、保健所は依然として行政マヒ状態だ。オム教授は「8日に救急センターに入ってきた患者が明日退院するのに、まだ感染者登録システムに登録出来ていない」として「(今でもすでに)京畿道はマヒ状態だ」と明らかにした。

パク・ジュニョン、クォン・ジダム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1031373.html韓国語原文入力:2022-02-16 17:46
訳J.S

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