ロシアがウクライナを侵攻する場合、発生しかねない深刻な「燃料不足」事態を防ぐため、日本が欧州に液化天然ガス(LNG)を融通することにした。米国の要求を受け入れたことで、日本国内でも「異例」という反応が相次いでいる。
萩生田光一経済産業相は9日、記者団に対し「欧州の厳しい状況を踏まえ、日本のLNG安定供給が確保されることを前提に、要請に応えることを決めた」と述べた。萩生田氏は同日、パトリシア・フロア駐日欧州連合(EU)大使とラム・エマニュエル駐日米国大使に会って、このような方針を伝えた。日本政府は国民生活に影響を及ぼさない範囲内で、融通の量を決める計画だ。
欧州は現在、全体ガス需要の約40%をロシアから輸入している。ロシアがウクライナを侵攻すれば、米国などはこれまで公言してきたように大規模な経済制裁を課す方針だ。その場合、ロシアは欧州に輸出する天然ガスを遮断する報復措置を取ることは火を見るよりも明らかだ。こうした状況に備え、米国は主要天然ガス輸入国である日本や韓国、インドなどに、確保した天然ガス物量の一部を欧州に融通するよう要請している。
日本は2020年、火力発電や都市ガス用として約7450万トンを輸入するなど、中国に次ぐ液化天然ガスの最大輸入国だ。オーストラリア、マレーシア、カタールの3カ国から約65%を輸入しており、ロシア(8%)や米国(6%)などからも輸入している。
しかし、昨年はLNGの在庫不足に見舞われるなど、日本の天然ガス需給状況も良い方ではない。TBSはこうした点を挙げ、「今回の判断は極めて異例の対応だ」と指摘した。そのため、日本が実際に欧州に融通できる量が多くはないという見通しも出ている。
韓国も、米国から同様の要求を受けたという。産業通商資源部の関係者は「韓国も100%輸入している上、冬季は需給が厳しい時期」だとし、「(欧州に融通するかどうかについて)まだ立場が決まっていない」と述べた。