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台湾、福島産食品の輸入禁止解除…CPTPP加盟に向けた布石か

登録:2022-02-09 06:23 修正:2022-02-09 07:26
台湾行政院が今月8日午前、記者会見を開き、11年間維持してきた福島一帯の食品に対する輸入禁止措置を解除すると発表した=「自由時報」のホームページより//ハンギョレ新聞社

 台湾がこの11年間維持してきた福島産食品に対する禁輸措置の解除を発表した。環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に加盟するために欠かせない日本の支持を取り付けるための「実利的行動」とみられる。

 台湾行政院は8日午前、記者会見を開き、2011年3月11日の東京電力福島第一原発惨事以来維持してきた福島および近隣の群馬や茨城など5県で生産された食品と農水産物に対する輸入禁止措置を、今月中に解除すると発表した。キノコ類をはじめとする一部品目に対する制限措置は維持される。

 地元紙「自由時報」は「特定地域の食品の輸入禁止から特定品目の禁止に基準を変更する一方、当局が指定した危険品目に対しては放射線安全検査の結果と原産地証明を求めることにした。また、福島を含む一帯の5県から輸入される食品全量を対象に通関検査を行い、このための検査人員も既存の46人から103人に増やすことにした」と報じた。

 台湾政府は東日本大震災で福島第一原発事故が発生した直後の2011年3月26日、福島など5県で生産された食品の輸入を禁止した。台湾国民たちは2018年11月に実施された国民投票でも福島産食品の禁輸措置の維持に78%の圧倒的な賛成票を投じた。

 にもかかわらず、蔡英文政権が今回決断を下したのは、昨年9月に申請書を出したCPTPP加盟に向けた布石と見られる。日本政府はCPTPP加盟の支持を要請する台湾側に、福島産食品の輸入再開問題を積極的に提起したという。

 実際、同日の会見で羅秉成政務委員は食品禁輸措置を一種の「不公正貿易障壁」と規定し、「科学的根拠なしに差別的措置を持続することはできない」と強調した。また「台湾が世界の通商舞台に進むためには科学的基準による厳格な検査を前提に輸入を認める時だと判断した」と説明した。

 これに先立ち台湾は、2020年12月の対米貿易交渉に必要だとして、成長促進剤(ラクトパミン)成分が含まれた米国産豚肉の輸入も許可した。これを受け、米国と台湾は昨年6月、貿易投資基本協定(TIFA)の締結に向けた会談を再開した。中国の圧力に対抗して米日と連帯を強化しなければならない台湾の現実が、相次ぐ実利的な動きにつながっているわけだ。

北京/チョン・インファン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/1030265.html韓国語原文入力:2022-02-09 02:32
訳H.J

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