1948年の大韓民国政府樹立後の韓国政治の歴史は、2つの時期に分けられる。李承晩(イ・スンマン)、朴正熙(パク・チョンヒ)、全斗煥(チョン・ドゥファン)独裁の時期と、その後の5年単任の大統領の時期だ。
1987年の直接選挙制改憲後は、盧泰愚(ノ・テウ)、金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)、文在寅(ムン・ジェイン)の7人の大統領が出た。3月9日には8番目の5年単任大統領を選ぶ。
第20代大統領選挙にはどのような政治的意味があるのだろうか。与党「共に民主党」のイ・ジェミョンが当選するか、野党「国民の力」のユン・ソクヨルが当選するかが気になるだろう。「国民の党」のアン・チョルスが完走するのか、ユン・ソクヨルと一本化するのかも気になるだろう。「正義党」のシム・サンジョンと「新しい波」のキム・ドンヨンの得票率も気になるだろう。
好奇心はしばらく横に置いておいて、韓国の大統領選挙の歴史を長期的に振り返ってみる必要がある。民主共和国である大韓民国において、選挙による政権交代は、政府樹立後49年が経った1997年になって初めて実現した。実に恥ずべき歴史だ。
なぜこのように遅れたのだろうか。長きにわたって政権交代を妨げていた勢力があった。1961年と1980年の軍事クーデターで政権を握った朴正熙、全斗煥両政権と、彼らに迎合して勢力を拡大した資本既得権勢力、分断既得権勢力だ。
彼らのイデオロギーは反共主義、保守主義だった。地域的には慶尚道中心主義、経済的には成長第一主義、市場万能主義だった。保守政党と保守新聞は彼らの前進基地だった。自らを「主流(メインストリーム)」と称してもいた。実際には単なる既得権勢力だった。
彼らは全羅道出身の金大中を常に警戒した。酒の席でも「ダイチューはダメだ」と注文のように繰り返した。韓国社会の非主流の象徴である金大中の大統領当選は、自分たちの権力喪失を意味するものだったからだ。
1997年の政権交代は奇跡だった。2001年に金大中政権は、マスコミ各社の一斉税務調査を行った。「夜の大統領」と呼ばれていた報道機関の社主たちは、次々と刑務所に入るという屈辱を味わった。金大中大統領は権力と報道の癒着を断ち切るために、マスコミ各社への税務調査を決断した。しかし、保守新聞社の社主たちは政治的報復と受け取った。その後、保守系の新聞は金大中、盧武鉉、文在寅政権に対して、呪いに近い理念攻勢と政治攻勢を浴びせ続けた。
2002年の盧武鉉大統領の当選を保守既得権勢力が我慢できなかったのも、同じ脈絡からだ。2004年の総選挙を前に、国会の議席の多数を占めていたハンナラ党は、盧武鉉大統領を弾劾した。保守新聞はけしかけた。逆風により、彼らはかえって議会権力を奪われた。
2007年の李明博大統領の圧倒的な当選は、保守既得権勢力の復活だった。民主党政権の没落だった。盧武鉉の傍にいた人々は自ら「廃族」を自任した。ならば盧武鉉大統領は放っておくべきだったのだ。しかし、保守既得権勢力は力のない退任した大統領を蔑ろにした。
その後に起こったことは、保守既得権勢力への報いだ。盧武鉉大統領の秘書室長が大統領になったのは偶然ではない。
文在寅大統領は2017年の大統領選挙を前に、「韓国政治の主流勢力を取り換えたい」と述べた。成功しただろうか。失敗した。なぜ失敗したのだろうか。一言で言って、純真だったのだと思う。
文在寅大統領の過ちとはどのようなものだろうか。検察主義者のユン・ソクヨル検察総長をその地位につけたことだ。チョ・グク法務部長官の任命を強行したことだ。今さら言っても詮無いことだが、問うべきは問わねばならない。
検察とはいかなる集団か。権力機関だ。既得権勢力だ。盧泰愚大統領は政権の要職を検事たちで埋めた。チョン・ヘチャン秘書室長、ソ・ドングォン安全企画部長が検事出身だった。チョン・グヨン大統領府民情首席はその後、検察総長となった。盧泰愚政権は、半分は検察共和国だった。
ユン・ソクヨル前検察総長の大統領当選は、大韓民国の歴史においていかなる意味を持つのだろうか。第1に検察共和国の完成だ。説明は必要ないだろう。
第2に、保守を標榜する資本既得権勢力、分断既得権勢力の華麗なる帰還だ。資本既得権と分断既得権の利害に忠実なユン・ソクヨル候補の数々の発言がその証拠だ。
大韓民国の保守は、数十年の栄辱の歴史から教訓を得ることができなかった。改革保守、合理的保守へと進化できなかった。まともな大統領候補を1人として生み出せなかった。その結果がユン・ソクヨル候補だ。恥ずかしくないのか。
民主主義国家においては、政権が過ちを犯せば審判を受ける。文在寅政権の失政による政権交代論は正当だ。しかし、政権交代論に便乗した資本既得権勢力、分断既得権勢力、ニセ保守の帰還を国民は受け入れられるだろうか。どうすべきなのだろうか。
ソン・ハニョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )