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北朝鮮、午前に米国非難談話を発表、午後には「短距離弾道ミサイル」発射

登録:2022-01-15 02:31 修正:2022-01-15 07:36
朝鮮労働党の金正恩総書記兼国務委員長が「11日、国防科学院で行った極超音速ミサイル発射実験を視察」し、「極超音速滑空飛行戦闘部は1000キロ先の水域に設定された標的に命中した」と、「労働新聞」が12日付1面で報道した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮が「今日(14日)午後2時41分と2時52分、平安北道義州(ウィジュ)一帯で東北方面の東海(トンへ)上に短距離弾道ミサイルと推定される飛翔体2発を発射した」と、合同参謀本部(合参)が14日午後に発表した。合参によると、11分間隔で発射されたミサイルの飛行距離は430キロメートル、高度は約36キロメートル、最高速度はマッハ6前後と把握されたが、詳しい諸元は韓米情報当局が精密分析を進めている。

 今年に入って北朝鮮の三度目のミサイル発射だ。「ミサイル発射(北朝鮮)→制裁の拡大(米)→ミサイル発射(北朝鮮)」につながる悪循環と、朝米間の「神経戦」が再燃されている。

 韓国政府は国家安全保障会議(NSC)常任委員会緊急会議を開き、北朝鮮の相次ぐミサイル発射に「改めて強い遺憾の意を表明」した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「明日(15日)の海外歴訪と関連し、ソ・フン国家安保室長は国内に残り、北朝鮮関連動向を綿密に注視すると共に、関連省庁と協力して対処するよう」指示したと、パク・キョンミ大統領府報道官が伝えた。

 北朝鮮は今月5日と11日、「極超音速ミサイル」(韓米軍情報当局は「弾道ミサイル」と推定)の発射実験を行った。11日の発射には金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が、チョ・ヨンウォン労働党組職担当秘書とキム・ヨジョン労働党中央委員会副部長を連れて専用列車で慈江道へ向かい、現地で見守った。金総書記がミサイル発射を現地視察したのは2020年3月以降661日ぶり。金総書記は「戦争抑止力の強化」を強調し、「労働党第8回大会が提示した国防力発展5カ年計画の5大課業のうち最も重要な戦略的意義を持つ極超音速の兵器の開発」の一環だと、「労働新聞」が12日付で報道した。

 14日に行ったミサイルの発射の具体的な内容と意図は、15日付の「労働新聞」を見なければならないが、北朝鮮はすでに発射の「理由」を明らかにしたともいえる。同日早朝「朝鮮中央通信」で公開された「外務省報道官談話」がそれを示している。

 同談話は「米国は我々の正当な活動を国連安全保障理事会に持ち込み、非難騒動を広げただけではなく、単独制裁まで発動し、情勢を意図的に激化させている」とし、「米国が対決的な姿勢を取っていくなら、より強力かつ明確に対応せざるを得ない」と明らかにした。さらに、「国家防衛力の強化は主権国家の合法的権利」だとし、「我々は正当な自分の権利を放棄しない」と付け加えた。

 これに先立ち、米財務省外国資産管理室(OFAC)は12日(現地時間)、北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)と弾道ミサイルプログラムの開発に関与した北朝鮮国籍の6人とロシア人1人、ロシアの団体1カ所を制裁対象に加えると発表した。北朝鮮国籍6人のうち5人がミサイル開発主体の国防科学院所属だ。さらに、米国のリンダ・トーマス=グリーンフィールド国連大使は同日、北朝鮮が昨年9月以降計6発の弾道ミサイルを発射し、国連安保理決議を違反したとして、対北朝鮮制裁対象の追加と拡大を安保理に要求した。

 北朝鮮は「外務省報道官談話」でこのような米政府の対北朝鮮制裁の拡大の動きに対抗姿勢を見せたが、約8時間後のミサイル発射は談話が空言ではないことを強調するための「威力示威」と言える。金正恩総書記が第8回党大会(2021年1月5~12日)で対米政策の「原則」として示した「強対強、善対善」の基調を再確認したわけだ。

 ただし、金正恩総書記が直接対米非難を発表したわけではなく、「金正恩の代弁者」と呼ばれるキム・ヨジョン副部長も昨年8月10日の韓米合同軍事演習を非難する談話以来、5カ月間「対米非難談話」を発表しないなど、対応のレベルを調整している。

 アントニー・ブリンケン米国務長官は13日(現地時間)、MSNBC放送に出演し、「北朝鮮の行動の一部は関心を引くためだと思う。彼らは過去にもそうだったし、おそらくこれからもそうだろう」と述べた。

 統一部のチャ・ドクチョル副報道官は同日午前、定例記者会見で「通常、北朝鮮はミサイル発射などに関する国連安保理の議論後、数日内に外務省などを通じて、立場を表明してきた」とし、「北朝鮮も、朝鮮半島情勢の安定が緊要な時期に対話を通じて平和を作っていこうという韓国政府の努力に応えることを重ねて求める」と述べた。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1027388.html韓国語原文入力:2022-01-14 21:58
訳H.J

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