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大統領選挙、韓国の原発の未来も決定づけるか

登録:2022-01-08 10:11 修正:2022-01-08 12:12
国際環境団体グリーンピースが6日午前、ソウル光化門前で気候危機への対応のための模擬投票を行うパフォーマンスを行っている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 2012年8月、本紙土曜版チームの記者として、送電塔の建設に反対する住民たちに会いに慶尚南道密陽(ミリャン)に初めて行った。まるで他の国に来たかのように暗かった。首都圏に電力を送るために、蔚山市蔚州郡(ウルサンシ・ウルチュグン)の新古里(シンゴリ)原発から慶尚南道昌寧郡(チャンニョングン)の北慶南変電所までの送電線路を建設する土地を提供している村。国内で最も大きく太い765キロボルトの送電線路が通るが、当の密陽は、エネルギーを消費する人口も、理由もなかった。ソウルで生まれ育った記者は、密陽での最初の夜、住民たちが闘士となった理由がエネルギー不平等の問題とつながっていることを体感した。

 都市の人々が覚えている密陽の送電塔反対運動は2010年代に入って本格化したが、前の政権が原発拡大基調のエネルギー政策を絶えず展開していた時から、この闘いは予告されていた。十数年前の決定により、2017年に文在寅(ムン・ジェイン)政権も新古里原発5・6号機の建設再開を公論化した。文在寅政権は「脱原発」を掲げたが、実際の原発比率の減少は2030年以降に本格的に始まるのもこのような脈絡からだ。立地を選定し、大きな費用をかけて住民を説得する過程を考えれば、エネルギー政策は物理的・経済的・心理的に「百年の大計」だ。不平等を解消することも、深めることもありうる。

 原発は、複雑で多岐にわたるエネルギー政策の頂点といえる。立地選定や安全性、経済性など、解決しなければならない問題でいえば最強の難易度だ。文在寅政権は「脱原発」を掲げたが、原発輸出先を積極的に増やしている姿勢は李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権と変わらない。「脱原発」を主張していた共に民主党の大統領候補が、新ハンウル原発3・4号機の建設再開の可能性を口にしている。各環境団体も、脱原発のスピードや方向性については微妙に立場が異なる。

 気候危機への対応のため、化石燃料の石炭や天然ガスを減らすべきだという要求が高まっているが、その後釜を巡って原発と再生可能エネルギーの激しい競争が始まった。韓国電力の資料によると、昨年は石炭35.6%、原発29%、天然ガス26.4%、再生エネルギー6.8%だった。気候危機時代に石炭、原発、再生可能エネルギーなど、どのように合理的なエネルギーミックスを行うかは生存の問題となった。

 新年には原発に対する答えが再び求められるだろう。年頭に欧州連合は、原発と再生可能エネルギーを全てクリーンエネルギーと認め、これらクリーンエネルギーへの金融投資支援を行う「グリーン分類体系(タクソノミー)」の素案を公開した。この発表の直前に公開された韓国のタクソノミーから、原発は除外された。しかし国際動向によってはいつでも変わりうる。

 今回の大統領選が原発の未来を決定づけるだろう。どこに原発を建設するのかがまず問われる。世界最大の原発密集度を考慮すれば、これ以上韓国に大型原発を建設することはできないと理解できるが、原発業界は太陽光や風力発電のような再生可能エネルギーも、この問題から自由ではないと抗弁する。小型モジュール原発を期待するには、技術開発がさらに進まなければならない。

 建設費、メンテナンス費用など、各エネルギー源の経済性を計算することは産業的に重要だが、一般市民には原発の安全性の問題が最も重要な判断基準となりうる。科学技術が完全に安全だと信じるならば、アマチュアではなく科学の名で脱原発政策を転覆するという立場を明らかにした候補を信じることができるだろう。しかし、チェルノブイリと福島で見たように、疑惑が残るならば、原発に対しては慎重にアプローチする方が良い。あなたの心はどちらに傾くだろうか。

チェ・ウリ気候変動チーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1026469.html韓国語原文入力:2022-01-07 19:26
訳C.M

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