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[コラム]終戦宣言とウクライナ危機は無関係なのか

登録:2021-12-17 07:26 修正:2021-12-17 10:23
中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が15日にテレビ会議で首脳会談を行う様子が、北京市内のショッピングモールの電光掲示板に映っている=北京/AFP・聯合ニュース

 重い質問が世界を飛び交っている。「中国が台湾に対する武力統一に乗りだすと同時に、ロシアがウクライナを攻撃するとなれば、どのようなことが起きるのだろうか」

 ロシアのプーチン大統領が、ウクライナとの国境で“危険な賭け”をしている。ロシアがウクライナとの国境に10万人近い兵力を配備すると、米国と欧州諸国は「強力な経済制裁」を警告し、ロシアが一線を越えないよう要求している。プーチン大統領の賭けを注意深く観察しているのは中国だ。中国の習近平国家主席は、「中華民族の偉大な復興」を実現するために必ず台湾統一をし、平和統一が不可能な場合、武力統一に出ると公に宣言した。米国の同盟国がロシアの攻撃に特別な対応ができないのであれば、中国が行動に乗りだす可能性も高まる。もちろん、当面の間は、中国国内の政治・経済的状況や軍事能力は十分ではない。しかし、中国軍の現代化計画が達成され、習近平主席が4回目の任期延長に乗りだす可能性がある2027年や、中国経済が米国を超えると予想される2030年頃、中国とロシアが協力し、台湾とウクライナに対して同時に行動に出るとすれば、または、二つの戦線で「偶発的な衝突」が発生するとすれば、国際社会はどうすべきか。様々な国の戦略家と専門家らが、このような質問を深刻に問いかけている。

 台湾は韓国にとって対岸の火事だろうか。台湾問題は、当初から朝鮮半島と緊密に関わっていた。1949年に「国共内戦」に勝利し中華人民共和国を樹立した毛沢東は、大陸に対する統制権を確固とした後、台湾に逃げた国民党政府を倒す準備をしていた。しかし、中国は1950年、ソ連とともに北朝鮮の南侵を支援すると、米国が第7艦隊を台湾海峡に急派し、中国の台湾占領は失敗に終わった。東北アジア歴史財団のオ・ビョンス研究員は「冷戦初期、蒋介石の国民党政府は『本土回復』を掲げ、戦闘機を中国大陸の各地に送り、秘密作戦を実施したが、しばしば群山(クンサン)の在韓米軍基地を中間寄航地として利用した」と述べ、「朝鮮半島は、常に地域紛争の真ん中に立つことになるので、列強の激しい対立を緩和させ、韓国の政治力を貫徹させる枠組みを作ることが重要な課題」だと強調する。

 再び台湾問題が東アジアで最も敏感な安保問題になった今、大統領府と外交安全保障の責任者たちが、このような状況をどう判断し、対応策を考えているのか気になる。5月22日の韓米首脳会談の共同声明には「台湾海峡の平和と安定の維持の重要性」という文言が初めて加わり、3日の韓米国防長官の年次安全保障協議会(SCM)の共同声明にも「台湾海峡の安定」が明記された。韓国政府は中国を意識し、これは「原則的な言及」にすぎないと意味を縮小しているが、台湾をめぐる米中の武力衝突が発生した場合、韓米同盟を結んでいる韓国は、作戦区域の真ん中に立つことになる。韓国が中国との軍事的対立の最前線に立たないようにするには、中国が「統一」を名目に地域の平和を壊すのを阻止する多国間外交でも役割を果たさなければならない。東アジアの平和を守るのは、米国側でも中国側でもない韓国の国益だからだ。

 「G10(主要10カ国)」の一員として、韓国外交が国内政治と朝鮮半島を越え役割と発言権を拡大してこそ、朝鮮半島の非核化と平和の問題もよりいっそう効果的に解決していくことができる。政府はこの数カ月間、「終戦宣言」に力を注いできたが、そのような点で物足りなさが残る。朝鮮半島で70年近く続いている停戦状態を克服し、非核化と平和体制に進まなければならないという道しるべは、当然のものだ。しかし、そこに至るまでどのような道を作り、進まなければならないのかも同じくらい重要だ。2019年のハノイでの朝米首脳会談が「ノーディール」で終わった後、米中対立も強まり、道ははるかに複雑になった。ところが、最近の韓国の外交力は、残り少ない現政権の任期内に終戦宣言を超高速で推進することに集中している。その過程で、中国が北朝鮮を対話に引きだすことを期待するあまり、中国側に過度に偏っているという議論が高まった。チョン・ウィヨン外交部長官が「中国の攻勢的な外交は当然のものだ」と強調するスタイルの外交により、米国内では終戦宣言に対する疑問が膨らんだ。米国も中国も、韓国を味方としてより近くに引き込むことに終戦宣言を利用しているだけであり、韓国・北朝鮮・米国・中国が合意する意味ある終戦宣言が作られているようにはみえない。

 強大国が激しく対立する荒波の時代を乗りこえるには、似たような立場の国々が力を合わせ、リスクは減らし協力は増やしていかなければならない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最近、オーストラリアを訪問し、レアアースのサプライチェーンの多角化と安全保障の協力強化、南シナ海の航行の自由を強調したことも、そのような意味だろう。国際秩序の主要な事案に対する関心と原則が、外交力を育てる。ウクライナと台湾の平和、先端技術のサプライチェーンの再編、民主主義と人権の改善などが、現時点でのそのような課題だ。

//ハンギョレ新聞社

パク・ミンヒ|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1023592.html韓国語原文入力:2021-12-16 18:39
訳M.S

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