本文に移動

バイデン政権、「人権」掲げ北朝鮮に初の新規制裁

登録:2021-12-13 03:13 修正:2021-12-13 07:26
米国のジョー・バイデン大統領が今月10日、米ワシントンで民主主義サミットの閉幕演説を行っている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 米国のジョー・バイデン政権が今月10日(現地時間)、反人権行為を理由に、北朝鮮、中国、ミャンマー、バングラデシュの10団体と15人の個人を制裁リストに追加した。バイデン政権発足後、北朝鮮に対して新たな制裁を加えたのは今回が初めて。

 北朝鮮の場合、リ・ヨンギル国防相と中央検察所などが制裁対象になった。リ国防相は韓国の警察庁長官に当たる社会安全相出身だ。

 米財務省傘下の外国資産統制局(OFAC)は「北朝鮮の個人は強制労働と持続的な監視、人権および基本的自由の行使に深刻な制限を受けている」とし、「中央検察所と司法体系は不公正な裁判で個人を懲罰し、裁判は時々悪名高い強制収容所行きに帰結する」ことなどを制裁の理由に挙げた。社会安全相出身のリ国防相も同じ理由で制裁対象になったと説明した。中央検察所とリ国防相は今年3月、欧州連合(EU)でも反人権制裁対象に指定された。

 米財務省は、2016年の訪朝中に体制転覆の容疑で逮捕され、2017年に昏睡状態で米国に送還された後に死亡した米国の大学生、オットー・ワームビア氏を北朝鮮の不公正な司法体系の事例として取り上げた。財務省は「生きていたら今年27歳になったはずのワームビアさんに対する北朝鮮の処遇と死亡は非難されるべきだ」とし、「北朝鮮政府は人権と関連した悲惨な事件に対し、今後も責任を取らなければならない」と強調した。

 財務省はまた、北朝鮮のアニメーション制作者たちを中国で不法就労させて外貨稼ぎに活用した「朝鮮4・26児童映画撮影所」も制裁対象に指定した。

 制裁対象になった個人や団体は、米国内の資産が凍結され、米国との取引が禁止される。

 バイデン政権はこれまで北朝鮮に対する制裁を延長してきたが、新たな制裁は課すことはなかった。しかし今回、「国際人権の日」であり、「民主主義サミット」が閉幕する日に合わせ、人権を理由に北朝鮮に初の制裁カードを取り出した。北朝鮮が米国の対話提案に応じない状況で、今回の制裁が膠着状態にさらなる悪材料として働くかどうかに注目が集まっている。米国は北朝鮮に対話を提案しながらも、先に対北朝鮮制裁を緩和することはないという立場を貫いている。

 このほか、財務省は、中国の新疆ウイグル自治区における人権蹂躙と関連した一部の団体や個人も制裁リストに加えた。今年2月、クーデターで政権を獲得した後、抵抗する市民を弾圧しているミャンマー軍部の関係者も制裁対象に指定された。バングラデシュの軍警からなる緊急行動部隊(RAB)とその前・現責任者らも深刻な人権弾圧を理由に制裁リストに上がった。

 一方、米国や国連などによる強力かつ長期の対北朝鮮制裁と、北朝鮮国内における人道的危機の深刻化の悪循環の輪を断ち切るべきだという指摘が、国際セミナーで出た。制裁問題の専門家である英国サセックス大学のケビン・グレイ教授は今月10日、ユーチューブで生中継されたセミナー「国際社会の対北朝鮮制裁評価:北朝鮮の経済および非核化に及ぼす影響を中心に」で、「制裁の第一目標は対象国の行動を変化させることだが、北朝鮮に対する制裁はその目標を達成できていない。むしろ人道支援を阻害している」と指摘した。グレイ教授は「北朝鮮の体制には(内部)分裂が多くないため、制裁を加える場合、運用の幅が狭くなる」とし、「(人道主義的逆効果に比べて)制裁の効果が限られており、むしろ『結集効果』が現れる可能性が高い」と付け加えた。

 外交官出身で、(国際)経済専門弁護士である梨花女子大法科大学院のキム・ジョンヨン教授は「(非核化という)対北朝鮮制裁の目標を達成するために制裁を強化するのか、それともそのレベルを見直すのかという決断を主導できる国は、現実的には米国だけ」だと指摘した。キム教授はさらに「(非核化に向けて)制裁の効用性を高めるために、米国が一部手段を見直すことのできる名分と手段を作るよう、論理を提供して空間を確保するのが韓国政府の唯一の解決策」だと助言した。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1022954.html韓国語原文入力: 2021-12-13 02:33
訳H.J

関連記事