大統領府のソ・フン国家安保室長が2日、中国の楊潔チ外交担当政治局員と会談するため、2日間の日程で中国を訪問した。文在寅(ムン・ジェイン)政権が進めている朝鮮戦争終戦宣言や、尿素水品薄現象などサプライチェーンの問題を含む両国の懸案について協議したものとみられる。
ソ室長は同日午後5時ごろ(中国時間)天津のあるホテルで開かれた会談で「国際情勢も転換期的状況にあり、朝鮮半島の周辺地域の平和安定のために両国間疎通と協力がいつになく重要な時期」だとしたうえで、「これまで朝鮮半島の完全な非核化と恒久的平和定着という共同の目標に向かって協力してきた両国が、今後も朝鮮半島情勢の安定的管理と平和プロセス進展のため緊密に協力することを期待する」と述べた。
これに対し、楊政治局員も「中韓双方が適切な時期に戦略的意思疎通を図ることが非常に重要であり、またそれが必要な時期」だとし、「新たな時期、新たな情勢のもと、共通の関心事について幅広く意見を深めることを望んでいる」と述べた。
これに先立ち、ソ室長と楊政治局員は今年10月、米国のワシントンとスイスのチューリッヒで、それぞれジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)と会談した。韓米と米中に続き韓中の外交・安全保障分野の司令塔が協議に乗り出した形で、朝鮮半島問題に関する双方の立場が具体的に議論されたものとみられる。特に、韓米間の終戦宣言に関する文言の調整作業がかなり進んでおり、ソ室長が楊政治局員にこれに関する具体的な内容を伝えたものとみられる。中国側は、朝鮮戦争の停戦協定の署名当事国として終戦宣言に参加するという意思を何度も表明してきた。
韓米を中心に行われてきた終戦宣言をめぐる論議が韓中まで拡大し、南北米中の4カ国による終戦宣言の議論が近く本格化するかに注目が集まっている。来年2月の北京冬季五輪の開幕を控え、終戦宣言をめぐる議論に拍車がかかれば、文在寅大統領の電撃的な訪中が実現する可能性もある。
今回の会談では、深刻な尿素水品薄などを含む両国間のサプライチェーン問題についても、踏み込んだ議論が行われたもようだ。ソ室長は冒頭発言で、「同様の問題が発生しないよう、緊密に協議していくことを期待する」と述べた。
ソ室長は同日午前、政府専用機(空軍3号機)で天津国際空港に到着し、朝鮮半島の非核化と終戦宣言問題を総括するキム・ジュング国家安保室平和企画秘書官らが同行した。