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「極右政党の支持率とコロナ感染率に密接な相関関係」

登録:2021-11-24 06:22 修正:2021-11-24 08:28
22日、ドイツのミュンヘンの伝統市場ヴィクトアリエンマルクトの入口にマスク着用を広報する人形が設置されている/EPA・聯合ニュース

 ドイツで新型コロナウイルスの感染率と極右政党の支持率の間に密接な相関関係があるという研究結果が出てきた。

 23日付のドイツの時事週刊誌「シュピーゲル」の報道によると、ドイツ社会統合研究所が主導した研究チームは、極右政党「ドイツのための選択肢」に対する選挙区民の支持率と新型コロナの感染率の間に「強く有意な」相関関係があるという研究結果を発表した。研究チームは、2017年の総選挙での政党得票率と昨年の新型コロナの感染率を分析し、そのような結果を得た。

 研究チームは、「ドイツのための選択肢」の得票率が1ポイント高くなるたびに、感染率は平均2.2ポイント高くなることが把握されたと明らかにした。研究チームは、ある選挙区で10票中1票を得て、他の選挙区ではその2倍を獲得したとすれば、2つの地域の感染率の差が平均22%広がるという意味だと説明した。

 ドイツでは、旧東ドイツ地域のザクセン州とチューリンゲン州の感染状況が特に深刻だ。「ドイツのための選択肢」が20%以上の得票率を得て、確固たる基盤を固めた場所だ。このように感染率と極右政党の支持率の相関関係を指摘する声については、人口密度や人口構造、貧困率、国境隣接地域の有無などがより重要な変数だという反論も提起されていた。新型コロナの第1波が旧西ドイツ地域から始まったことを、どのように説明するのかという指摘もある。

 そこで研究チームは、48種類の変数を考慮し、選挙区別の感染推移を分析した。その結果、「ドイツのための選択肢」に対する支持率は、一部の他の変数とともに、ほとんど一貫して感染率の上昇と相関関係があることが明らかになった。2017年の選挙での同党の支持率を選挙区別に、低い(19.9%未満)、普通(19.9~24.1%)、高い(24.2%以上)に分け分析したところ、支持率が高い所の感染率が高く維持される現象が実際に観察された。研究チームは、他の政党と感染率の上昇の相関関係は確認されなかったと述べた。イエナ民主主義・市民社会研究所のクリストフ・リヒター氏は、「ワクチン接種反対者のすべてが『ドイツのための選択肢』と親しいわけではない」が、研究結果と全般的な状況は、極右政治とウイルスへの対応の問題との相関性を裏付けると語った。研究チームは、初期の感染が旧西ドイツやドイツのアルプス地域で深刻だったのは、そこが旅行や事業で外国との交流が多かったからだと説明した。

 残った問題は、「ドイツのための選択肢」の態度が感染率の上昇を促したのか、もしくは、単に同党がワクチン接種やウイルス統制の強化に反対する世論から支持されたのにすぎないのかどうかだ。「ドイツのための選択肢」は、自分たちが感染拡大の傾向に責任があるという主張または仮説を否定してきた。しかし、同党のザクセン州議員が、非接種者の活動を制限する法案に対し、「接種義務化は違憲」だとして訴訟を起こした事実などに照らせば、極右政党が接種拒否の動きに能動的な役割を果たすという点を否定できない。

 極右または右派政治が新型コロナへの対応に及ぼす影響は、ドイツだけの問題ではない。米国でも共和党が政権を握る州を中心に、ワクチン接種とマスク着用の義務化をめぐり議論が続いている。共和党所属の州知事らは、今月初めに連邦政府が従業員100人以上の企業に接種または週に1回の新型コロナの検査を義務化すると、これを無効にするよう求め、訴訟を起こした。米国の極右勢力は、ワクチン接種は人口減少を狙ったものなどの陰謀論を広め、反対世論を助長している。

イ・ボニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1020410.html韓国語原文入力:2021-11-24 02:30
訳M.S

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