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[社説]野党大統領選候補ホン・ジュンピョ議員の危険極まりない「極右ポピュリズム」

登録:2021-10-29 00:59 修正:2021-10-29 07:53
国民の力の大統領選候補ホン・ジュンピョ氏が28日午前、ソウル汝矣島の選対事務所で「庶民福祉大転換」公約を発表している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 野党「国民の力」の大統領選予備選候補であるホン・ジュンピョ議員が、常識外れの公約を乱発している。「死の職場」を防ぐために与野党の合意にもとづいて可決された「重大災害処罰法」を廃止すると言ったかと思えば、今度は「戦術核再配備」や「THAAD『3不』約束白紙撤回」など、極右系の有権者の好む主張を外交・安保公約として発表したのだ。

 来月5日の党内での候補確定を控え、いくら強硬支持層の1票が欲しい立場だとしても、ホン議員がここのところ見せている極端な主張は、常識を持った市民が耐えられる水準を越えている。同氏が27日に外交・安保公約記者会見で明らかにした「韓米または多国間形態の『アジア版核企画グループ』を設置する。(そこで)戦術核再配備をはじめとするNATO式の核共有体制構築の約束を取り付ける」という発言が代表的な例だ。ホン議員の主張は、国際社会が受け入れがたい非現実的な内容であるばかりでなく、核不拡散原則が基本である米国政府の基調とも衝突する。またホン議員は「中国との屈折した非正常な関係を正す」とし、「THAAD『3不』政策」(米国のミサイル防衛システムへの韓国の不参加、THAAD追加配備の不許可、韓米日軍事同盟への不参加)も公式に破棄すると述べた。朝鮮半島と周辺の情勢についての綿密な検討の末に打ち出した構想というよりは、「反中感情」に便乗して票を得ようという計算がまず読み取れる。南北の偶発的な軍事衝突を防ぐために締結された9・19南北軍事合意を破棄するとしたのも同様だ。

 ホン議員は、今月25日に打ち出した経済公約では、総合不動産税の廃止をはじめとする保有税の緩和、ソウル都心の建て替え時の容積率の1500%への引き上げ、法人税の最高税率の緩和を約束した。不動産富裕層と企業の利益を一方的に代弁したものだ。法人税の最高税率の緩和は世界的な流れにも逆行している。この席でホン議員は、今年1月に与野党の合意によって制定された重大災害処罰法も廃止すると述べた。そして「立法だけで(企業を)過剰規制するのはポピュリズムだ」と述べた。

 連日極端な主張を続けるホン議員の内心は推し量れないわけではない。ユン・ソクヨル前検察総長と比べて劣勢に立たされている党員支持率を上げるには、これ以外に方法はないと判断したのだろう。しかし目の前の政治的利益のために、韓国社会が困難な議論を経て合意した共存・統合の価値を否定し、周辺国との対立を拡大することの明らかな非現実的な約束を乱発することこそ、危険極まりないポピュリズムだ。ホン議員には分別のない言行を慎んでいただきたい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1017093.html韓国語原文入力:2021-10-28 18:39
訳D.K

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