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韓国のスターバックス従業員、過重業務の改善を訴え「トラックデモ」

登録:2021-10-08 03:56 修正:2021-10-08 08:07
7日午前、ソウル麻浦区上岩洞のYTN近くの路上に、スターバックス従業員の処遇改善を求める内容を表示したトラックが停車している=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 「スターバックスの最大の資産はパートナー(従業員)です。これを忘れないでください」

 7日午前10時から、スターバックス従業員の人員補充および処遇改善を求めるメッセージを電光掲示板に流す2台のトラックが、ソウル江北区(カンブクク)と江南区(カンナムグ)を夕方6時まで回った。従業員たちが匿名コミュニティ「ブラインド」を通じて少しずつ資金を集め、自分たちの思いを込めて送り出したトラックだ。

 労働組合のないスターバックスコーヒー・コリアの店舗従業員たちが、頻繁なマーケティングイベントのせいで過度な業務が転嫁されていると訴え、トラックデモを行っている。最近、米国のスターバックスの従業員たちが勤務条件の改善を求めて労働組合の結成を進めているのに続き、韓国の従業員たちも集団行動に打って出たのだ。

 先月28日に始まり、業務量の激増を招いたリユースカップ贈呈イベントが、トラックデモの引き金となった。従業員たちは、これまでの膿みが表に出てきたという反応を示す。業界トップのカフェ企業で正社員として働いているという強い自負を持っていった従業員たちの間では、従業員数に比べて過重な業務が転嫁され続けてきたことで、これ以上我慢できないというコンセンサスが形成されたということだ。

 「入社当時はとてもうれしかった。スターバックスのイメージは私にとって一生の職場だというもので、友人にも入社を勧めるほど自負がありました。でも今は誰にも勧められません」(従業員のAさん)

 スターバックスの従業員は、近くに新しい店舗がオープンすると周辺の店舗の従業員の一部を異動させ、その後は人員を補充しないということが繰り返されてきたと語る。店舗での経歴が10年以上のAさんは本紙に対し「昨年は、店舗の従業員が15人以上いたにもかかわらず店を回すのが大変でした。現在は15人以下なのに、本社からは『人件費が超過しているのでパートナーをそれ以上雇うな』と圧力がかかっています。パートナーは消耗品扱いを受けているんです」と述べた。実際にスターバックスの店舗数は対前年比で2019年末には9.2%、2020年末には9.8%増加しているが、その間の雇用人数(雇用労働部3月告示による)はそれぞれ8.4%、6.9%増にとどまっている。

7日午後、ソウル西大門区の梨花女子大学スターバックス1号店近くの路上に、スターバックス従業員の処遇改善を求める内容を表示したトラックが停車している=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 従業員は増えないのに、マーケティングイベントの指示はここ数年間で急増している。首都圏のある店舗で働いて6年目のBさんは「イベントの当日まで毎日送られてくる修正公示、絶え間ないマーケティングイベント、イベントの中のイベントまで。数年の間にイベントが急増したため、その日に把握しておくべき新しいイベントマニュアルが2~3種、あるいはそれ以上あるときもある」とし「現場の状況をきちんと知らずにどんどん注ぎ込んでいる感じの業務処理は手に負えない」と吐露した。イベント準備はすべて既存の業務処理に追加されるものだ。

 従業員たちは、このような状況は顧客サービスの低下につながると懸念する。Aさんは「スターバックスは顧客との交感を強調し、毎月点数を付けて各店舗を評価しています。ところが最近は飲み物を作って売るのもいっぱいいっぱいで、顧客との交感はもちろん、店内の衛生にも気を配る余裕がありません」と話した。

 トラックデモが予告されたことを受け、スターバックスコーヒー・コリアのソン・ホソプ代表は5日、社内に全体メールを送り、改善策をまとめると表明した。しかし、「一行も『すまなかった』というニュアンスの言葉はありませんでした」(Aさん)、「すまないと思っているようには見えない」(Bさん)など、従業員の反応は冷ややかだ。

 米ニューヨーク州バッファローでも今年8月末から、スターバックスの3つの店舗の80人あまりの従業員が賃上げと処遇の改善を求めて労組結成を進めているが、韓国も同様の動きにつながるかどうかが注目される。スターバックス本社は、バッファローにある全店舗(20店)で投票を行うべきだと主張し、労組結成に否定的な立場を示している。「スターバックス労働者連合」と呼ばれるバッファローの従業員たちは5日、ツイッター(@SBWorkersUnited)で韓国のスターバックス従業員のトラックデモ予告記事のリンクを共有し、「韓国のパートナーを支持します。#solidarity(連帯)」というツイートをあげた。

 現在、トラックデモに参加した人々は「外部勢力(民主労総など)は介入していない」と繰り返し強調している。労組に否定的な考えの強い若い従業員が大半を占めるため、労組結成に対する考えも分かれる。Aさんは「労組がないと、センター(本社)は現場職を無視するでしょう。でも(労組結成に)簡単には取り組めないと思います」と述べた。

米国バッファローで労組結成を進めているスターバックスの店舗従業員たちが5日、ツイッター(@SBWorkersUnited)に韓国のスターバックス従業員のトラックデモ予告記事をリンクし、「韓国のパートナーを支持します。#連帯」とつぶやいた=ツイッターより//ハンギョレ新聞社
パク・スジ、イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1014337.html韓国語原文入力:2021-10-07 18:20
訳D.K

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