共に民主党のイ・ジェミョン候補が、大統領選挙に向けた党予備選の初戦が行われた忠清地域で大勝を収め、機先を制することに成功した。全国予備選のバロメーターとされる同地域で「党員の心」をつかんだことで、イ・ジェミョン陣営ではこの勢いで決選投票なしに党予備選を勝利に導けるという自信も高まっている。専門家らも、目立った悪材料が発生しない限り、イ候補が「本命」としての位置を固めると見込んだ。
イ・ジェミョン候補の今回の圧勝は、これまでイ候補に対する「拒否感」が強かった党員の間でも、本命という認識が広がっていることを確認した点で意味がある。今回の忠清地域の予備選では、現場投票を申し込んだ国民選挙人団が一部参加したものの、4~5日に行われた予備選の主な選挙人は代議員と権利党員だった。忠清地域の党員たちがイ知事に過半数を超える圧勝をもたらしたもので、2017年の大統領選予備選の過程で文在寅候補を激しく攻撃して形成された党内の拒否感をイ知事が克服した結果でもある。一方、イ・ナギョン候補は忠清地域の民主党所属議員のうち7人の支持を確保し、イ・ジェミョン候補側(4人)より多く、組織力において優位を占めていると見られていたが、「イ・ジェミョン本命論」を覆すことはできなかった。イ・ジェミョン陣営は「忠清地域での選挙結果は全国平均と同じ方向に向かっている」とし、予備選の勝利を期待している。イ・ジェミョン陣営の主要関係者は5日、本紙との電話インタビューで、「イ・ジェミョン候補の支持率はソウル、京畿道、仁川でかなり高く、全羅地域で少し低い状況」だとしたうえで、「独自調査によると、忠清地域と全国平均の世論の流れは一致してきた。決選まで行かずに済むとみている」と述べた。
予備選の初戦でイ・ジェミョン候補が圧勝し、リードできたのは、「(大統領選)本選での競争力」が主な要因に挙げられる。龍仁大学のチェ・チャンリョル教授は「文大統領を支持する権利党員たちがイ・ジェミョン候補に本選競争力があると判断し、圧倒的に多い票を入れた」とし、「イ・ジェミョン候補に決定的な欠点が見つからない限り、忠清地域の結果が今後の予備選挙で大きな影響を及ぼすだろう」と述べた。本命という認識が今後、他の地域での予備選にもつながる可能性も高い。仁荷大学のパク・サンビョン招聘教授は「忠清地域の世論が重要な理由は、予備選の初戦が行われるうえ、民主党の伝統的な支持基盤である全羅地域にかなりの影響を及ぼすためだ」とし、「全羅地域でも、大統領選に向けた党員世論を示すバロメーターの役割を果たしてきた忠清地域の世論を見ながら、本選で勝つ可能性が高い候補に票を入れる」と分析した。イ・ジェミョン陣営の別の関係者は「本選で勝てる候補を選びたいという民主党党員たちの思いが非常に強く現れた」とし、「党員たちはコロナ禍の中で優柔不断ではなく果敢に決断を下せる決断力と推進力を評価したと思う」と述べた。
イ・ナギョン候補が独自のビジョンやコンテンツを示せず、ネガティブキャンペーンに集中してきた点も「イ・ジェミョン本命論」に影響を与えたとみられる。議題と戦略グループ「ザ・モア」のユン・テゴン政治分析室長は「イ・ジェミョン候補の道徳性を信頼するというよりは、『バンドワゴン(勝ち馬に乗る)効果』とともに、独自色を出せない2位候補に対する失望感が重なった結果」だと指摘した。