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北朝鮮、中国製は信頼できず、アストラゼネカ製は拒否…COVAXに他のワクチン要求

登録:2021-07-10 06:42 修正:2021-07-10 07:42
国家情報院傘下の国家安保戦略研究院が9日、ソウル市鍾路区フォーシーズンズホテルで「北朝鮮情勢ブリーフィング:争点とフォーカス」をテーマに記者懇談会を行っている=イ・ジェフン記者//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮は9日、「COVAXファシリティを通じて導入する予定だったアストラゼネカ製ワクチンについて、副反応を懸念して受け入れを拒否し、他のワクチンに替える可能性を打診している」と、韓国の国家安保戦略研究所(戦略研)が明らかにした。戦略研は国家情報院傘下の研究機関だ。

 戦略研は同日、ソウル市鍾路区(チョンノグ)のフォーシーズンズホテルで「北朝鮮情勢」をテーマにした記者懇談会を開き、「北朝鮮は海外ワクチンの導入を進めているが、現在確保量はないものとみられる」と述べた。

 「COVAXファシリティ」はワクチンの共同購入・配分のための国際協力プロジェクトで、今年3月、北朝鮮にワクチン199万2千回分を割り当て、このうちワクチン170万4千回分を今年5月までに届ける計画だと発表したが、これまで供給が行われていなかった。これに関し統一部は「北朝鮮当局とCOVAXの間で引き続き協議が行われている」とし、「COVAXのワクチン供給に必要な書類がすべて提出されておらず、(ワクチン供給・接種の)手続き協議も終わっていないと聞いている」と明らかにした。

 戦略研の発表は、北朝鮮当局とCOVAX間の協議が長引く背景には、単なる手続きの問題だけでなく、ワクチンの種類をめぐる意見の相違もあることを裏付けている。

 戦略研は「北朝鮮は中国製ワクチンについて(効能に対する)不信感から導入を躊躇しており、ロシア製ワクチンは評価するが、無償支援を求めている」と明らかにした。無償支援を求める北朝鮮に対し、ロシアは有償支援の方針を貫いており、実現していないという。

 戦略研は「3月末から外交官や貿易関係者など国外駐在の北朝鮮人が(中国やロシアなど)各国でワクチン接種を受けているのは北朝鮮当局が問題視せずに認めており、接種が行われていると聞いている」と伝えた。

 これに先立ち、国家情報院は8日、国会情報委員会全体会議で「北朝鮮内における大規模なコロナ発病の兆候やワクチン搬入は把握できない」と報告した。情報委の野党幹事のハ・テギョン議員(国民の力)は「国情院は現在、北朝鮮に新型コロナの感染者も、ワクチンもないと報告した」と伝えた。

 戦略研は北朝鮮の食糧事情が「今年の需要量(550万トン)に比べ100万トン以上不足している状況」だとし、食糧事情が深刻な水準だと明らかにした。戦略研は「昨年、北朝鮮の穀物生産量(400万トン)が前年比5%ほど減少した上、 昨年10月から(新型コロナ防疫に伴う国境閉鎖で)外部からの導入が中止されている」と明らかにした。

 戦略研は「新型コロナによる貿易中止、操業禁止などの影響で過去に比べて国境地域と海岸地域で絶糧世帯(食糧がない世帯)が多く発生している」とし「例年より早い1月末から食糧が底をついた世帯が発生し、ジャガイモやトウモロコシが収穫される9月までが山場」だと説明した。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1002905.html韓国語原文入力:2021-07-09 16:06
訳H.J

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