アニメ『庭を出ためんどり』を連想させる出来事が実際に起きた。食肉になるためにと畜場に運ばれた幼い産卵鶏が10日間生きのび、新たな生をはじめた。2011年に封切られ大ヒットした『庭を出ためんどり』は、死ぬまで鶏小屋で卵を産むだけだったはずのめんどりが養鶏場を脱出する物語だ。
23日、動物愛護団体のソウルアニマルセーブのDxE小グループは、京畿道抱川市(ポチョンシ)のある食肉処理場から産卵鶏1羽を救助したと明らかにした。この産卵鶏はまだ産卵したことのない幼いニワトリで、この日、初伏(夏至後の3番目の庚の日。暑さを乗り切るために参鶏湯を食べる習慣がある)のVigil(動物が苦しむ現場を訪れ、これを目撃し記録する活動)企画のために現場検証に出た活動家の目にとまり救出された。
団体によると、救出されたニワトリは、10日ほど前に養鶏所から来たトラックの中に紛れこんでいた。通常、産卵鶏は12~18カ月間産卵を続け、生産性が落ちれば廃鶏となり、と畜場に送られる。まだ幼いニワトリがトラックの中に紛れこんでいるのを見つけた運転手らがこのニワトリを飼い場に放したため、このニワトリは死なずに済んだ。その後は運転手らから飼料と水を与えられ、と畜場の前で生き延びていたという。
自然状態でのニワトリの平均寿命は12年ほどだが、産卵を目的に農場で育てられる産卵鶏の寿命はわずか3年ほどだ。生後5~6カ月から産卵を始め、1年半ほど毎日卵を産み、一定以上の卵を生産できなくなれば廃棄処理されるか、と畜場に送られることになる。
救出されたニワトリの名前は「イプサク」に決まった。アニメ映画『庭を出ためんどり』の主人公の名前から取ったという説明だ。救出された「イプサク」は現在、活動家の自宅で保護されており、体調が回復し次第、今後の居所を決める予定だ。マイクロ・サンクチュアリー(救助動物のための小さな保護所)形式で活動家が保護を続ける方法も考えられている。韓国国内には、初めて公開救助された豚のセビョギが暮らしてる「セビョギ・サンクチュアリー」がある。
ソウルアニマルセーブは「と畜場で九死に一生を得たイプサクは、動物解放の当事者として、今後は養鶏産業のなかで卵を奪われ搾取される数多くの鶏の現実を知らせることに力を添えるだろう」と述べた。