「強制わいせつ被害空軍副士官死亡事件」を捜査していた空軍検察団が、加害者の携帯電話に対する差押令状が発付されていたにもかかわらず、任意提出までこれを執行していなかったことが分かった。対応が遅れたことで、軍検察が加害者に証拠を隠滅する時間を提供したという批判が出ている。
国民の力のイ・チェイク議員は6日、「空軍に確認したところ、空軍検察団は加害者のJ中士(軍の階級)の携帯電話に対する差押令状を受け取っていながら執行してなかった」と明らかにした。イ議員の説明によると、空軍検察団は先月22日、L中士が死亡しているのが発見された直後、「事件に関して周囲の人または事件関係者と携帯電話で交わした会話の内容を任意に削除するなど、J中士による証拠隠滅が懸念される」として、軍事裁判所からJ中士の携帯電話に対する差押令状の発付を受けた。しかし空軍検察団は直ちに差押令状を執行していなかった。J中士は9日後の先月31日に軍検察の調査を受け、この過程で自分の携帯電話を任意提出した。空軍検察団の関係者はイ・チェイク議員室に対し「J中士を調査する際に、本人が携帯電話を任意提出しなかったら令状を執行するという計画だったが、J中士が携帯電話を素直に提出したため執行しなかった」と説明した。
空軍検察団のこのような手抜き対応により、すでにJ中士が主な証拠を隠蔽した可能性があるとイ・チェイク議員は指摘した。先月22日にL中士の死亡が伝えられ、J中士が調査を受けるまでの間に、J中士は自分の携帯電話に入っている隠蔽やもみ消し工作、懐柔の状況を立証する内容を十分に削除できたということだ。J中士が軍検察に任意提出した携帯電話には懐柔の状況を立証するに足る通話録音などが残っているが、その他の手がかりを削除したかどうかは軍検察が確認できずにいるという。
空軍検察団はまた、L中士の死亡後も「逃走の懸念がない」との理由で加害者と目されるJ中士の拘束令状の請求も検討していなかったことが確認された。J中士は事件の捜査が国防部検察団に移された後の2日に、強制わいせつ致傷の疑いで拘束された。
イ議員は「空軍検察団は、L中士が自殺した直後には少なくともJ中士を拘束すると同時に、携帯電話も確保すべきだった」とし「初動対処がなっていないため、国防部検察団の捜査もまともになされるか疑問だ」と述べた。