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文大統領「グリーンリカバリーが必要な開発途上国を支援」

登録:2021-05-31 05:37 修正:2021-05-31 09:17
文在寅大統領が今月30日、ソウル東大門デザインプラザで開かれた「グリーン成長とグローバルゴールズ2030のためのパートナーシップ(P4G)首脳会議」の開会演説を行っている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は30日、「2025年まで、気候・グリーンODA(政府開発援助)を大幅に増やし、グリーンリカバリーが必要な開発途上国を支援する」と明らかにした。また2023年の気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の韓国誘致を推進すると公式宣言し、「2030国家温室効果ガス削減目標」をさらに上方修正する意志を再確認した。

 文大統領は同日午後、ソウル東大門デザインプラザでオンライン会議として開催された「2021グリーン成長とグローバルゴールズ2030のためのパートナーシップ首脳会議(P4Gソウルサミット)」の開会式でこのように述べた後、「国際社会の気候危機克服に向けた努力に先制的かつ積極的に参加する」という意志を示した。特に開発途上国への支援に関し「今後、開発途上国と先進国をつなぐ架け橋の国として責任と役割を果たす」とし、「グローバルグリーン成長研究所に500万ドルのグリーンニューディールファンド信託基金を新設する」と約束した。また「P4Gの持続可能な連帯に向け、400万ドル規模の基金を新規支援し、創意的グリーン成長プロジェクトの拡散に寄与する」と述べた。新規の海外石炭発電所に対する公的金融支援を中止する立場を重ねて強調し、「2050年カーボンニュートラル(炭素中立)」実現に向けた韓国の温室効果ガス削減目標(NDC)をさらに上方修正する考えも重ねて明らかにした。

 特に、文大統領は2023年に開かれるCOP28の韓国誘致を進める考えを公式に示した。国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)は気候変動への対応を話し合う主要国際舞台で、現在、韓国国内の地方自治体が誘致に乗り出している。韓国が気候変動への対応において先制的に動くという意志を表明したものとみられる。

 今年は温室効果ガス削減のためのパリ気候協定履行の最初の年であり、4月の気候サミットに続き、11月に英国で開かれるCOP26に至るまで、“気候外交”が国際社会の話題として浮上した年だ。特に、米国のジョー・バイデン大統領が就任後すぐにパリ気候協定に復帰し、世界的な関心も一層高まった。

 文大統領が同日打ち出した約束の中で注目されるのは、ODAの拡大だ。韓国政府は2025年までに気候・グリーン開発援助をODA援助全体の19.6%水準から経済協力開発機構(OECD)平均(28.1%)以上へと大幅に拡大する方針だ。文大統領は「国ごとに経済発展の段階が異なり、石炭火力への依存度に大きな差があるため、世界的な低炭素経済への転換のためには開発途上国への先進国の更なる支援が必要だということを強調したい」と付け加えた。

 これまで韓国が(気候変動への対応において)、模範国として国際社会にリーダーシップを示すべきと指摘してきた専門家たちは、文大統領の開会演説を評価しながらも、さらに一歩進んだ取り組みを注文した。韓国社会責任投資フォーラムのイ・ジョンオ事務局長は「開発途上国への支援は気候変動対応の先進国として行うべき当然の責務」だとし、「文大統領は『今後も開発途上国と先進国を結ぶ架け橋の国として責任と役割を果たす』と述べたが、韓国は温室効果ガス排出量だけを見ると調整者の役割をするのではなく、先進国の立場ですべきことが何なのかもっと考えなければならない」と指摘した。

 文大統領が2030年の韓国のNDCを確定して明らかにしなかった点も、限界と指摘される。4月に気候首脳会議を主催した米国は、2035年の電力部門でのカーボンニュートラル目標などを含め、2030年までに2005年の排出量を基準に50%を削減すると発表しており、英国やドイツ、日本など主要温室効果ガス排出量上位国のNDCの上方修正を促した。これに対し、韓国も具体的な目標を示すべきだという要求が相次いだが、文大統領の今回の開会演説にも、NDCの目標数値や国内外の石炭火力発電所の廃止の約束は盛り込まれなかった。

 ある気候運動家は「ODAを前面に出したのは、今回も韓国政府が国際社会に排出量削減に関して何も言えないから」だとし、「韓米首脳会談で韓国は米国と『地球平均気温の上昇を1.5未満に抑えるための努力』を傾けるとし、上方修正されたNDCの発表を約束した。たが、1週間後の今回の開会演説では『2050年カーボンニュートラルを目指す中間目標』という表現にとどまり、多少失望感を抱かせた」と分析した。1.5度以上の地球平均気温の上昇を防ぐために国際社会が2015年のパリ協定を通じて導き出した2030年の排出量は、2010年の排出量対比45~50%水準だ。しかし現在、韓国の2030年の排出量目標は2010年の排出量に比べて18.5%の削減(5億3600万トン)に過ぎない。

 一方、文大統領は同日の開会式に先立ち、2019年、P4G首脳会議を初めて開催したデンマークのメッテ・フレデリックセン首相とテレビ電話会談を行い、両国関係を「包括的グリーン戦略的パートナー」関係に格上げすることにした。また、海上風力発電分野の強国であるデンマークとの協力も強化することにした。

 P4G首脳会議の開会式の後、世界の主要首脳級および高官34人、国際機関の首長20人が参加した首脳演説セッションが行われた。グリーンリカバリーやカーボンニュートラル、官民協力の3つのテーマについて要人たちの映像メッセージが上映された。一方、大統領府は同日、首脳会議の開会式と首脳討論セッションで、二酸化炭素と廃資材の発生を防ぐため、先端メディアとARなどを活用した技術を通じてイメージを具現化した。

イ・ワン、チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/997283.html韓国語原文入力:2021-05-31 02:11
訳H.J

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