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[寄稿]対日歴史対応、このままでいいのか

登録:2021-04-02 02:24 修正:2021-04-02 07:06

 左頬を叩かれたので右頬を突き出したら後頭部まで叩かれた。

 2015年合意はそもそも「書き換え可能な代物」ではなかった。「慰安婦」問題は、全人類が末永く記憶し、再発を防止しなければならない反人道的犯罪であり、世界の重大な人権・女性問題だからだ。ドイツとイスラエルが、ホロコーストのことを「最終的かつ不可逆的に解決」したのだから、二度と「国際社会で取り上げ」ないようにしようと言ったり、「被害者追悼碑の撤去」に言及したりすることが想像できるだろうか。そのような合意の直後に、ドイツの首相が自ら謝罪する考えは「毛頭ない」と言ったとしたら?

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、任期の当初から何度も「被害者中心の解決」と「被害女性たちが納得できる解決」を強調してきた。しかし今年初めには、韓日関係の改善を理由として、2015年合意を認めるという衝撃的な立場を発表した。1月8日のソウル中央地裁による慰安婦賠償訴訟の勝訴判決については「困惑している」と述べた。それでも日本は「韓国が解決策を示せ」と高姿勢を保ち、「慰安婦」被害者個人の賠償請求権を認めた歴史的な判決を徹底的に無視している。裁判では勝ったものの、強制執行は遠い現実であり、結局、被害者の立場からは得たものは何もない。

 ところが、今度は教科書が加わった。3月30日付のハンギョレの報道によると、来年から高校で使用されるすべての「歴史総合」の教科書で「慰安婦」などの日本の戦争犯罪の責任は縮小または削除されており、独島は日本の領土なのに韓国が不法占拠していると書いたかと思えば、「大東亜共栄説」を掲げて日本の侵略戦争を正当化しているという。

 両頬を叩かれたうえに後頭部まで殴られたかたちだ。その間にも日本政府は、被害女性たちがすべて亡くなることばかりを待ちつつ、米国と西欧社会を舞台として、年間で数千億ウォンの予算を投じて「慰安婦は性奴隷ではない」という歴史修正主義を「着実に」広めている。ハーバード大学のラムザイヤー教授の論文は、日本政府の用意周到な「歴史戦」の氷山の一角にすぎない。

 真に懸念されるのは、2015年の拙速合意の敗着を拡大、再生産することだ。しかし、2015年合意にもとづいて「慰安婦」問題を解決しようとすることは、大きなポットホール(地盤に生じた穴)の上に建物を建てるのと同じだ。なぜなら「慰安婦」問題の核心は「金」ではなく、「日本政府が犯罪の事実を認めることを前提とした真の、明白な謝罪、すなわち被害者の名誉の回復」だからだ。日本政府の絶え間ない歴史の否定と歪曲によって、被害女性たちは数え切れない2次、3次、n次被害を受けている。

 イ・ヨンスさんの話を聞いてみよう。「この30年間、できることはすべてやりました。もはや国際司法裁判所で日本の犯罪を明らかにするという方法だけが残されています。私たちの恨(ハン)を晴らしてください」。故キム・ボクトンさんは「日本全体をくれても解決はできないだろうが、真の謝罪をするなら許すこともできる」と語った。

 「昨日」は外務省のホームページからの河野談話の削除や「慰安婦は売春婦」との主張、「今日」は歴史歪曲教科書の改悪だとすれば、「明日」はベルリンとグレンデールからの少女像の撤去が現実となりうる。

 2015年合意はすでに、国連と国際社会においては、国家主導で大規模人権問題を解決する「悪い先例」と判定されて久しい。選択は政府にかかっている。

 せめて今からは「被害者中心主義」の原則へと立ち返らなければならない。国際司法裁判所(ICJ)への付託を日本に提案せよ。日本が受け入れるにせよ拒否するにせよ、なぜ日本の立場を前もって心配しなければならないのか。時間がない。今でなければ機会はない。

//ハンギョレ新聞社

キム・ヒョンジョン|賠償と教育のための慰安婦行動代表、サンフランシスコCWJC総務理事、ICJ推進委報道担当 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/989209.html韓国語原文入力:2021-04-01 14:38
訳D.K

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