日本軍「慰安婦」被害者のことを「自発的売春婦」であると規定したハーバード大学のジョン・マーク・ラムザイヤー教授の論文に対し、「慰安婦」被害者イ・オクソンさん(94)など36人が「歴史捏造・歪曲行為をやめよ」との声明を発表した。
2日、世宗大学の保坂祐二教授は「ラムザイヤー教授の論文は学問の自由という仮面を被った人権侵害行為にすぎない」との声明を発表した。声明は、ナンシー・ペロシ米下院議長やハーバード大学のローレンス・バコウ総長、ラムザイヤー教授の論文が掲載される学会誌の編集長、パク・ピョンソク国会議長らに送られた。イさんをはじめ光復会のキム・ウォヌン会長、共に民主党のソン・ヨンギル、ヤン・ヒャンジャ両議員ら36人が声明に名を連ねた。
声明は、ラムザイヤー教授の論文を詳細に批判した。声明は「多くの女性たちが日本軍によって強制連行されたり、就業詐欺で日本軍の性奴隷となった。そこには日本女性だけでなく朝鮮人、中国人、台湾人、東南アジアの人々、欧州のオランダ人とドイツ人も含まれる」「ところがラムザイヤー教授は、日本政府と日本軍は介入していないと虚偽の主張を行い、業者と女性たちが互いの利益のために性売買の契約を結んだという虚偽に基づいた論文を書いた。同氏は論文を通じて、日本国内の売春業の状況を拡大解釈することで、日本軍『慰安婦』がすべて売春婦だったと言い張る致命的な誤りを犯したのだ。特に、このような間違いは単なる学問的ミスではなく、特定の政治勢力に便乗した、意図されたものであることを懸念せざるを得ない」と批判した。
また「掲載されてはならない論文」とも指摘した。声明は「日本軍『慰安婦』問題においては『性契約』そのものが存在しておらず、すべての女性たちが連れて行かれたり他の名目に騙されて連行され、逃げられない環境で性奴隷とならざるを得なかったというのが歴史の真実だ」「そのような歴史的事実を無視したラムザイヤー教授の論文は、学問の自由の領域を逸脱しており、被害者たちに対する人権侵害の要素が強く、論文としては掲載不可判定が下されるべきであった。同氏の論文が掲載される学会誌で再審査を行うのが妥当だと考える」と述べた。続いて「ラムザイヤー教授が、日本軍『慰安婦』問題を説明するために使ったゲーム理論は、歴史的事実を説明するのには適していない。互いが互いの利益のために契約を結ぶとするゲーム理論は、性犯罪には適用できないからだ」と指摘した。
声明は「ラムザイヤー教授だけでなく、彼を擁護する日本の極右勢力、韓国内の新親日派勢力も、歴史の真実に背を向ける歴史捏造・歪曲行為をもうやめなければならない。そして韓国国会は『慰安婦問題歪曲禁止法』を一日も早く制定しなければならない。米国の歴史学会は、ラムザイヤー教授の論文を徹底的に検証すべきだ」と述べた。