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韓国国防部、2020年国防白書で日本を「パートナー」のかわりに「隣国」と表記

登録:2021-02-03 06:24 修正:2021-02-03 06:58
2020年国防白書と2018年国防白書//ハンギョレ新聞社

 2年ごとに発刊される韓国の「2020年国防白書」で、日本について「パートナー」という表現が削除され、「隣国」とだけ表記された。

 韓国国防部は2日、こうした内容が含まれた「2020年国防白書」を発刊した。同白書によると、日本について「両国関係だけでなく、北東アジアおよび世界の平和と繁栄のためにも、共に協力していかなければならない隣国」と説明した。2018年の国防白書では「韓日両国は地理的、文化的に近い隣国であり、世界平和と繁栄のために共に協力していかなければならないパートナー」としたが、今回は「パートナー」という規定が抜けたのだ。

 これは最近最悪の状態にある韓日関係が反映された記述とみられる。これに先立ち、日本は昨年7月の「2020年防衛白書」で、日本の安保協力対象国として、オーストラリアやインド、ASEAN(フィリピンなど東南アジア10カ国)に続き、韓国を4番目に取り上げるなど、韓国の重要性を意図的に下げた。

 今回の国防白書はまた、日本の歪曲された歴史認識と独島(日本名・竹島)の領有権主張、2018年12月の海上自衛隊哨戒機による威嚇飛行、2019年7月の輸出規制などを一つひとつ取り上げ、両国の国防関係の未来志向的発展に障害要素になっていると記した。また韓国政府はいつでも韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の効力を停止できる状態を維持しているとし、今後も日本の「一方的かつ恣意的な措置に対し、断固として厳重に対処する」方針を明らかにした。ただし、共同の安全保障懸案については引き続き協力することも強調した。これについて国防部当局者は「外交部など関連省庁と協議した結果、国防部としては隣国と記述するのが妥当だと判断した。韓日関係がギクシャクしている状況なども考慮された」と述べた。

 同白書は2018年に南北の間で締結された9・19軍事合意について「南北の軍事的緊張が画期的に緩和された」と高く評価した。白書は「北朝鮮軍は過去、軍事境界線5キロメートル以内の区域で多数の砲兵射撃および野外機動訓練を持続的に実施してきたが、9・19軍事合意以降は一切実施していない」と明らかにした。また、これまで100回以上の銃撃・砲撃挑発が発生した非武装地帯でも、「2020年5月に中部戦線の韓国側監視哨所に向けて銃撃事件が発生したことを除いては、いかなる軍事的緊張も発生していない」とし、西海緩衝区域でも北朝鮮軍が「2019年11月に昌麟島(チャンリンド)で海岸砲射撃を除いては艦砲・海岸砲の実射撃および海上機動訓練を実施しておらず、北朝鮮海軍艦艇の北方限界線侵犯事例も発生していない」と明示した。国防部当局者は「北朝鮮の9・19軍事合意違反事例は、2019年11月の昌麟島海岸砲射撃訓練と2020年5月の非武装地帯監視哨所(GP)による銃撃の2件」だと述べた。

 北朝鮮の核能力については、プルトニウムは50キログラム以上、高濃縮ウランは「相当量」を保有しており、核兵器小型化能力は「相当な水準」だという2018年白書の評価をそのまま維持した。国防部当局者は「北朝鮮がこれまで再処理施設を稼動した兆候が見られず、プルトニウム保有量も変わらないものと見ており、ウラン濃縮施設や核兵器小型化技術は密かに進められているため、正確に評価する資料が足りない」と説明した。

 北朝鮮のミサイル能力については「2019年以降、作戦運用上の管理に有利な多種の固体推進短距離弾道ミサイルと新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)北極星-3型の発射実験を行った」と記した。また、昨年10月の党創建75周年記念軍事パレードに登場した弾道ミサイルは、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)、「北極星-4ㅅ」など9種だと明らかにした。

 北朝鮮が2019年に登場して以来“超大型放射砲”と称した兵器は、今回の白書で短距離弾道ミサイル(SLBM)に分類された。放射砲は連続射撃能力が特徴的で、飛行軌跡も弾道ミサイルと少し異なるという。国防部当局者は「北朝鮮は全体システムの側面から放射砲と規定したものとみられる。われわれは発射体が弾道ミサイルに近い機能を示すことから、短距離弾道ミサイルと規定している」と述べた。

 このほか、北朝鮮が運用するミサイル旅団は2018年白書では9個だったが、今回の白書では13個に増え、機械化歩兵師団は4個から6個に増えた。また、特殊戦部隊の地位を強化するために、特殊作戦群を別途の軍種に分類していると指摘された。国防部当局者は北朝鮮のミサイル旅団増加に対して「これまで一部マスコミと専門家たちの間で、13個と見るべきという声が持続的にあがってきたため、今回これを受け入れた」とし、「しかし実際それだけのミサイルが配備されて編制されたのかなど、具体的な内容はもう少し確認しなければならない」と述べた。また機械化歩兵師団について「実際に増えたわけではなく、当初機械化歩兵軍団と把握していたものが、昨年10月の党創建75周年記念軍事パレードで師団とされたことが確認され、これを反映して修正された」と説明した。

 同白書は、韓米合同軍事演習が昨年、陸軍29回、海軍70回、空軍66回、海兵隊7回を実施されたと記録した。海・空軍は前年に比べてそれぞれ9回、49回増えており、陸軍と海兵隊は同期間60回、17回ずつ減った。国防部当局者は「コロナ禍でも海・空軍は非対面演習が可能だが、陸軍と海兵隊の演習は人が集まらなければならないため、差が生じた」と述べた。

 今回の白書には「北朝鮮は敵」という表現は含まれなかった。2018年国防白書同様、北朝鮮など特定国家や勢力を対象にせず「韓国軍は大韓民国の主権、国土、国民、財産を脅かし侵害する勢力を我々の敵とみなす」と包括的に規定した。これについて国防部は「2018年国防白書の内容を維持し、北朝鮮の脅威だけでなく潜在的脅威、超国家的かつ非軍事的安保脅威を包括できる概念として記述された」と明らかにした。

 同日公開された白書は、2日から国防部ホームページで閲覧とダウンロードが可能で、政府機関と国会、研究所、図書館などには今月中に冊子として配布される予定だ。また、英語と中国語、日本語、ロシア語など多言語要約版も今年上半期に発刊される。国防白書は2年に1回、国防政策広報などのために発行されるもので、今回の白書が1967年以降24回目だ。

パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/981433.html?_fr=mt2韓国語原文入力:2021-02-03 02:46
訳H.J

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