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疾病管理庁長が最も憂慮するワクチン副作用「アナフィラキシー」とは

登録:2021-01-30 03:17 修正:2021-01-30 06:21
2月からのワクチン接種を控え、26日に京畿道平沢にある韓国超低温物流センターで、厚い防寒服を着た職員がコロナワクチン超低温保管所を点検している/聯合ニュース

 2月から新型コロナウイルスワクチンの接種が始まるのを前に、政府が最も懸念していることの一つは、接種後に現れる副作用だ。昨年にインフルエンザワクチンの接種を忌避する事態が起きたように、ワクチン接種を嫌う人が増えれば、集団免疫形成という目標に支障を来す恐れがある。政府が最も注視しているのは「アナフィラキシー」反応だが、専門家は、接種後の異常反応を十分にモニタリングするとともに、予診体制と副作用発生時の対応体系をきちんと整えるべきと強調する。

 チョン・ウンギョン疾病管理庁長は28日、新型コロナ予防接種計画の発表に際し、「予防接種を行う際には、迅速さよりも安全性を最優先に実施する予定」、「現在、最も懸念している予防接種後の異常反応は、ワクチンを構成する物質に対する重いアレルギー反応であるアナフィラキシー」と述べた。防疫当局の説明によると、mRNAワクチンであるファイザーとモデルナのワクチンに対しては、それぞれ人口100万人当たり11人、2.5人のアナフィラキシーが発生しことが報告されている。

 アナフィラキシーは急性の重いアレルギー反応だ。特定物質に対して起こる過敏反応で、短時間内に血圧低下、呼吸困難、失神などの反応が現れる。発生は稀だが、直ちに応急治療をしなければ死に至る恐れもある。アナフィラキシーを起こす物質としてはピーナッツ、乳製品、甲殻類などの様々な食べ物や、ペニシリンなどの薬物がある。コロナワクチンでは「ポリエチレングリコール(PEG)」が誘発物質として挙げられる。高麗大学九老(クロ)病院のキム・ウジュ教授(感染内科)は「壊れやすいmRNAワクチンの安全性を高めるためにPEGを入れるのだが、これによってアレルギー反応が誘発される可能性がある」と話した。

 これについて専門家は、PEGに対するアレルギー反応があるかどうかを見極める予診を接種対象者に行うことが重要だとアドバイスする。予診とともに、実際に応急処置が必要な状況が発生した際に対応できるよう、事前の準備が必要となる。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「血圧や心拍数を上げる効果のある医薬品のエピネフリンなどを直ちに投与できるようにしておくとともに、気道閉塞の症状が現れたら気道挿管できるように、そのための装置を備えておかねばならない」と語った。続いてオム教授は、「事前に異常反応が起きる可能性があるということを十分に説明するにしても、安全に対応できるというメッセージを明確に伝える必要がある。こうしたことを知らせずに接種して問題が発生すれば、結果的にワクチンの接種率が下がる可能性がある」と指摘した。

29日、ソウル中区の旧米軍極東工兵団の跡地に設けられた国立中央医療院コロナワクチン中央接種センターで、ある関係者が案内板の前を通り過ぎている/聯合ニュース

 一方、政府は前日、予防接種後の異常反応への対応と、被害補償体系のガイドラインを明らかにした。予診でアナフィラキシー危険群を選別するなど、接種対象者の健康状態を確認し、接種が終わった後は15~30分間待機してもらい、異常反応を確認するという。また、接種当事者に重症の異常反応が現れた場合に備え、市・道ごとに民間合同対策チームを設置して対応することを決めた。因果性が認められる被害例には、「予防接種被害補償制度」に基づき治療費・病看護障害および死亡一時補償金を支給する。

ソ・ヘミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/981028.html韓国語原文入力:2021-01-29 16:34
訳D.K

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