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[特派員コラム]「米国は中国を変えることはできない」

登録:2021-01-15 01:15 修正:2021-01-15 08:21

 米国と中国を「戦略的競争国」という。「戦略的」という言葉は曖昧だ。例えば「戦略的忍耐」はいつ、何をすべきかが定かでない。結局何もしなくなることが多い。「戦略的曖昧性」は、いかなる信号を送るべきか分からない時に示される立場だ。受け入れた方が誤って解釈し、事を誤ることもある。「戦略的競争」も同じだ。何のための競争であり、望む結果は一体何なのか。

 米国のジョー・バイデン次期大統領がカート・キャンベル元国務次官補(東アジア・太平洋担当)をホワイトハウス国家安保会議(NSC)のインド太平洋担当調整官に指名した。バイデン政権の対中国政策を総括する地位だ。

 キャンベル氏は、内定のニュースが伝えられた12日(現地時間)、外交安保専門雑誌「フォーリン・アフェアーズ」に「米国はいかにアジアの秩序を強化するのか」と題する文章を寄せた。同氏は、力の均衡の回復▽適切な地域秩序の樹立▽中国の挑戦に対抗するための同盟の復元を3大課題に挙げた。

 キャンベル氏が同誌の紙面を借りて対中国政策の方向性を示したのは、今回が初めてではない。2018年3・4月号には、バイデン副大統領の国家安保副補佐官だったイーライ・ラトナー氏と、2019年9・10月号にはバイデン副大統領の国家安保担当補佐官だったジェイク・サリバン氏と、それぞれ共同で寄稿している。

 サリバン氏は、バイデン政権の初代国家安保担当補佐官に指名された。キャンベル氏の直属の上司だ。ラトナー氏は国防総省のインド太平洋担当副次官補として有力視されている。ビル・クリントン政権時代にキャンベル氏が務めていた職だ。2回の寄稿を総合すると、バイデン政権の対中国政策の方向性が予想できる。

 米中関係の扉を開いたリチャード・ニクソン政権以降、米国の対中国政策の根幹は経済・外交・文化的つながりを通じて中国を変化させることだった。米国の国力と覇権的地位がこれを可能にするだろうという自信を持っていた。キャンベル氏は「米国の介入によって中国を根本的に変えることができるという考えは間違っている。これを認めることこそ正しい対中国政策の出発点だ」と断言する。

 対中国政策について、米政界の内外では二つの極端な主張が存在する。一つ目は、冷戦時代の対ソ連政策と同様、全面的な対中国封鎖を行うべきという主張だ。いわゆる「新冷戦」だ。キャンベル氏は「中国は世界の3分の2の国にとって最大の貿易相手国であり、米国経済とも緊密に連係している。封鎖は不可能だ」と指摘した。

 二つ目は、冷戦時代の米ソの「デタント(緊張緩和)」を越える米中の大妥協だ。中国の超大国としての地位を認め、アジアにおける中国の影響力拡大を容認せざるを得ないという「現実論」だ。これについてキャンベル氏は「同盟国を単なる交渉のカードにするという主張と同じ」とし「長期的には米国の国益を損なうだろう」と述べた。

 代案はいかなるものか。キャンベル氏は「米国の利益と価値に親和的なやり方で中国と共存すること」を挙げた。特に同氏は「共存には競争と協力が同時に必要だ。競争は解決すべき問題を意味するのではなく、共存のために管理すべき条件」と指摘した。また「同盟は削減すべき費用ではなく、投資すべき資産」とし「親中-反中で第3国を眺めるのではなく、『親民主』を同盟の原則とすべき」と強調した。

 米国の「優越的地位」を過信したドナルド・トランプ政権の幕が下ろされる。強い圧力と選択的封鎖によって中国の変化または降伏を引き出せると信じていた米国が変わりつつある。中国の算法も複雑になってくるものと思われる。

//ハンギョレ新聞社

チョン・インファン北京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/978849.html韓国語原文入力:2021-01-14 18:49
訳D.K

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