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パク・ウォンスン市長のわいせつ容疑提訴をソウル市に伝えた議員、「長い沈黙」

登録:2021-01-05 10:17 修正:2021-01-06 09:50
共に民主党のナム・インスン議員が昨年7月22日、国会で開かれた最高委員会議に出席している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 故パク・ウォンスン前ソウル市長が強制わいせつ容疑で提訴されたという事実をソウル市に伝えたことが明らかになった共に民主党のナム・インスン議員が、沈黙を続けている。ナム議員にこの事実を伝えたキム・ヨンスン韓国女性団体連合常任代表も、政府委嘱職から退いた他はこれといった立場表明をしていない。女性界内部では、女性運動が政界と協業する過程で「被害者との連帯」という本質をおろそかにしたのではないか、省察すべきだという声が出ている。

 先月30日、ソウル北部地検は、被害者がパク前市長を「MeToo事件」で告訴する予定だという事実がキム・ヨンスン常任代表→ナム・インスン議員→イム・スニョン・ソウル市ジェンダー特別補佐官を経て、パク前市長にまで伝わったと明らかにした。ナム議員は韓国女性団体連合の事務総長や常任代表などを務めたが、比例代表で政界に入った。イム特別補佐官はナム議員の補佐官を務めた。

 韓国女性団体連合は検察の捜査結果が出た当日、「真実究明に向けて奮闘された被害者と共同行動団体に心から謝罪する」という立場を発表した。しかし昨年7月、「パク前市長が提訴されるという事実は知らなかった。(提訴の事実をソウル市に知らせたという)推測報道は慎んでほしい」と言ったナム議員は、自分の従来の主張を覆す捜査結果が出たにもかかわらず何の反応も見せていない。与党関係者は「言うべき言葉がない状況なのではないか」と話した。

 昨年、民主党の女性議員らがパク前市長の事件に対する声明書の内容を議論した当時、ナム議員が「被害者」ではなく「被害を訴えている女性」という表現を主張した事実が明らかとなり、状況はさらに悪化している。

 ついに4日、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)の韓国女性団体連合の事務所の前に、自らを女性団体の「一番若手の活動家」と称する人物が作成したポスターが貼られた。作成者は「この事件は代表者たちの閉鎖的で垂直的な態度に起因する」「これ以上被害者が孤立しないよう、組織の上下関係を打破し、政界との結託なき運動を続けることを求める」と書いた。女性団体出身の人物たちの政官界への進出が増えていく過程で、健全な緊張関係が緩んだ反面、垂直的な組織の雰囲気の中で後輩たちは自分の声を上げられずにいるということだ。

 女性団体を通じて提訴事実が流出したという問題が、パク前市長の事件の本質を覆い隠さないよう、当事者の謝罪と率直な説明が必要だという声も出ている。慶煕大学比較文化研究所のソン・ヒジョン学術研究教授は「被害者側の弁護人が女性団体に助けを求め、女性団体が他の団体に連帯を求めるのは自然な対応過程だ。問題は提訴の事実がパク前市長の耳に入ることになった部分だが、これを区分せず、一緒くたにして批判するのは正しくない。ナム議員など当事者が自らこのような経緯を説明すべきだが、沈黙を守っているのは理解しがたい」と話した。

 匿名を要求した女性団体関係者は「最近の堕胎罪廃止で見られるように、女性界と政界の協業は女性団体のスローガンを制度と法制化に繋げるためには必須だ。ただ、女性団体関係者が政界に流入する過程で、必要な緊張関係も緩んだというのが確認されたということ。今回をきっかけに女性団体と政界の関係設定を再び整えるべきだ」と話した。

イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/977281.html韓国語原文入力:2021-01-05 07:01
訳C.M

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