ユン・ソクヨル検察総長の懲戒問題をめぐる各種の訴訟と議論が続いているなか、2回延期された法務部の検事懲戒委員会が、10日に予定通り開かれ結論を出せるか注目される。
ユン総長側は、懲戒委員会の構成に法務部長官の影響力が作用する検事懲戒法が違憲だとして憲法訴願を出し、憲法裁判所の決定までは懲戒委員会の効力を停止するよう仮処分申立てまで出すなど、法的総力戦を繰り広げている。検察内外では、懲戒委員会が開かれるまで憲法裁判所が仮処分申立てを認容する可能性は高くないという見方が多い。憲法裁判所のウェブサイトで検索した結果、過去10年間に憲法訴願とともに出された仮処分申立て206件のうち、憲法裁判所が受け入れた事例は2件だった。認容された2件も、最短で3週間から4カ月ほどかかった。
ユン総長側は、法務部の監察記録閲覧を申立てるなど、懲戒委員会が予定通り開かれる状況にも備えている。ユン総長側は、4日に法務部から監察記録を渡されたが、「判事査察関連の法律検討報告書が抜けている」とし、攻勢の度合いを高めた。法務部は2千ページを超える監察記録の閲覧を認めたが、実際には主な懲戒事由である「判事査察疑惑」の文書に対する法理検討報告書は公開しておらず、防御権を保障されるには至らなかったということだ。これについて法務部関係者は、「検事懲戒法上、懲戒対象者本人の提出書類や陳述書面のみを閲覧できるが、最大限の防御権を広く保証するために、他の書類も閲覧させるようにした」としながら、「ユン総長側が問題提起した内部の法理検討報告書は、閲覧調査対象にはならなかった」と述べた。
このような神経戦が続く状況で、懲戒委員会に委員として参加するイ・ヨング法務部次官がかつて、退任したパク・サンギ元法務部長官に事務所の便宜を図ったという事実が明らかになり、議論が起きている。在任時代にユン総長と報道機関のオーナーとの会合の事実の報告を受けたパク元長官に対する法務部の調査が、イ次官が提供した事務所で行われたというのだ。これについて法務部は、「パク元長官がイ次官の弁護士事務所の3部屋のうち1部屋を使っていた頃に、パク元長官が面談を要請したパク・ウンジョン法務部監察担当官を事務所に呼んだもの」とし、「イ次官はパク元長官が面談した事実も知らず、面談に一切関与しなかった」と明らかにした。ユン総長側は、懲戒委員として参加するイ次官について忌避申立てを出す方針だ。
10日に懲戒委員会が開かれるとしても、当日に懲戒の決定が出るかも未知数だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「懲戒手続きの正当性」を強調しただけに、公正性を確保するためにさらに審議期日を設けるのではないかという見通しも出ている。検察関係者は、「史上初の検察総長の懲戒であり、行政訴訟なども予告されため、法務部も懲戒手続きにはより慎重を期するものとみられる」と述べた。