大統領府は11日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の前日の労働党創建75周年記念軍事パレードについて「環境が整い次第、南北関係を復元しようという北朝鮮の立場に注目」するとし、期待をほのめかした。
大統領府はこの日午前、ソ・フン国家安保室長を中心に国家安全保障会議(NSC)緊急常任委員会会議を開き、北朝鮮の軍事パレードの演説内容を分析し、定例会見を通じてこのように明らかにした。大統領府が”注目”したのは、金正恩委員長が「愛する南の同胞たち」に向かって「また手を握りあう日が訪れることを願う」と述べた部分だ。過去の軍事パレード演説と比べ異例の表現だと大統領府は受け止めている。大統領府はこれと共に「(北朝鮮の)今後の動向を綿密に注視し、関係省庁が調整された立場で対処していくことにした」と明らかにした。大統領府の会見後、統一部は「このような演説内容が朝鮮半島の平和と南北関係の発展につながることを期待する。このために南北間の対話の復元が行われ、環境が整い次第、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を含む人道・保健医療分野で相互協力が再開されることを願う」と述べた。外交部も文書を通じて「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が9月の第75回国連総会の基調演説で強調した、終戦宣言と北東アジア防疫保健協力体構想の提案に対する北朝鮮側の呼応を期待する」と明らかにした。国会外交統一委員長である共に民主党のソン・ヨンギル議員もフェイスブックで「COVID-19以後、南北協力の時期が到来するという期待を持たせる発言」と評価した。
しかし、大統領府はこの日の会見の冒頭で「常任委員たちは相互武力衝突と戦争を防止するための南北間の多くの合意事項を必ず守らなければならないという点を強調した」と伝えた。さらに「西海(黄海)上の韓国国民の死亡事件が早期に究明されるよう、韓国側の提案に北朝鮮側が前向きに応じるよう求めた」と述べた。韓国政府は最近、朝米関係の改善に力を入れてきたが、先月の西海の延坪島(ヨンピョンド)沖での銃撃事件により、こうした努力が水の泡となりそうな状況だ。大統領府は銃撃事件に対して共同調査を求めたが、北朝鮮は何の返事も返していない。大統領府が南北関係の復元に関する北朝鮮の立場について「注目する」という中立的な表現を使ったのも、これを念頭に置いたものと読み取れる。
今回公開された新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)などについても注視した。大統領府は「常任委員は今回公開された新しい武器体系の戦略的意味と詳細事項について引き続き分析していくことにし、これに備えた韓国の防御能力も点検していくことにした」と伝えた。国防部もこの日、大統領府のブリーフィング後「北朝鮮が新しい長距離弾道ミサイルと推定される武器などを公開したことを憂慮する」という立場を明らかにした。