韓国政府が「堕胎罪」を存置させる刑法と母子保健法の改正案を7日に立法予告することが伝えられ、死文化した堕胎罪の処罰が実質的に復活することになったという批判が出ている。当事者である女性の経験と声が全く反映されず、女性界の反発が激しいものとみられる。
6日に伝えられた政府立法予告案の争点は、妊娠週数による許容可否の差別化▽相談・熟慮期間制度の導入▽例外的許容事由に社会・経済的事由を追加など。このうち「14週以内は許容、14~24週は例外的許容、以降は禁止」と妊娠週数によって妊娠中絶の許容の可否を差別化するのは、妊娠期間を明確に確定できない現実を見過ごしているものだ。妊娠期間は生理周期や超音波を通じておおよそ「推算」するが、生理周期の不規則性や産婦と胎児の栄養状態によって誤差が生じることがある。合法的に妊娠中絶を許可するという「14週以内」が、実際の妊娠期間ではない可能性があるという話だ。産婦人科のユン・ジョンウォン専門医は「最後の生理日を正確に知っている女性は平均50%のみ。特に未成年者や知的障害者など劣悪な状況であるほど、最後の生理日を覚えていなかったり、妊娠を遅く認知する可能性が高い」とし「週数の算定が不確実な状況で一日や二日の差が刑事処罰の基準になるのは、明確性の原則に反する」と指摘した。これに先立ち、法務部の両性平等政策委員会も同じ意見を明らかにしている。
母子保健法を改正し、義務的に国が指定する機関で相談を行った後、24時間「熟慮」するよう義務付けたのも、時代に逆行するだけでなく女性の基本権を侵害する余地が大きい。世界保健機関(WHO)はすでに2012年に「熟慮期間は適切なケア・管理を遅らせ、安全で合法的なサービスに接近できないようにし、意思決定者としての女性を無視することだ」として、熟慮期間の廃止などのガイドラインを発表している。「性的権利と再生産正義のためのセンター・シェア」のナ・ヨン代表は「熟慮期間を義務付けるのではなく、相談機関が宗教や個人の基準によって歪曲され偏った情報を提供しないように原則を立てるのが優先だ」と指摘した。
14~24週の例外的な妊娠中絶許容事由に追加した「社会的または経済的理由」は、「客観的基準を設けることができないなど立証が難しく、むしろ手続き上の複雑さと時間の負担だけを加重させる」(韓国女性政策研究院のキム・ジョンヘ副研究委員)という批判が出ている。社会・経済的困難の基準を誰がどのように決め、立証するかということだ。これには「子どもを産む資格」を国家が決めるという問題も伴う。
韓国女性団体連合のキムミン・ムンジョン共同代表は「立法予告案は国家の責務を放棄し、女性だけに責任を転嫁する認識が反映されたもので、1953年の刑法を初めて制定した時と変わらない」とし「処罰条項を廃止しても妊娠中絶率は高まらないという事実が多くの国で確認されたにもかかわらず、刑事処罰で対処するという発想だ」と批判した。姙娠中絶の施行件数に比べて起訴件数が顕著に少なく、堕胎罪が事実上死文化されたにもかかわらず、政府が法改正を推進したことで、むしろ処罰の根拠をより具体化していると指摘されている。
政府は立法予告後、40日以上の意見収集を経た後、国会に法案を提出する予定だ。共に民主党と正義党では、「妊娠中絶の非犯罪化」という方向で刑法と母子保健法改正案の発議を準備中だ。韓国女性民友会のカン・ヘラン常任代表は「政府案には憲法裁判所が女性の自己決定権を侵害すると判断した点は全く反映されていない」とし、「政府案の問題点を明らかにし、これに対応する改正案を要求する行動を続けていく」と明らかにした。