11月の米大統領選挙と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期化に直面し、韓国にとって隣国の中国と日本との首脳外交が緊迫した外交課題として浮上している。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が国連総会での演説を通じて改めて強調した終戦協定締結などの「朝鮮半島平和プロセス」の前進のためにも、周辺国との安定した関係の構築は不可欠だ。
政府は、2017年のTHAAD配置と米中「新冷戦」でぎくしゃくしている韓中関係の改善、強制動員被害者への賠償問題などで悪化の一途をたどる韓日関係の回復に向けて全力を尽くしている。このような政府の本音は、先月22日の中国の楊潔チ政治局員の訪韓と、16日の菅義偉首相就任に対する大統領府の発表を見れば明らかだ。大統領府のカン・ミンソク報道官は楊政治局員の訪韓直後、「COVID-19の状況が安定し、条件が整い次第、習近平主席の訪韓を早期に実現させることで(中国と)合意」し、韓国が今年の議長国である「韓中日首脳会議の年内開催の必要性について協議」したと明らかにしている。
カン報道官はさらに、菅首相の就任を祝う大統領の書簡には「日本といつでもテーブルについて対話し、コミュニケーションを取る準備ができている。日本の積極的な呼応を期待する」との内容が含まれていると伝えた。できれば年内の習主席の訪韓を実現させるために努力するものの、コロナ禍によって事情が思わしくなければ、韓中日首脳会議の機会に李克強首相、菅首相とそれぞれ韓中、韓日首脳会談を開きたいという考えを表明したものだ。大統領府が中国と「合意した」という表現を使ったことから推察すると、中国も同じ立場とみられる。関心を集めるのは日本の対応だ。
日本のメディアは23日、菅首相が24日に文在寅大統領と、25日に習主席とそれぞれ電話会談を行うことで意見を調整していると報じた。大統領府は菅首相との電話会談の日程について、確認できないと述べたが、否定はしなかった。日本政府当局者はメディアのインタビューで「菅首相は(文大統領に)就任あいさつとともに、日本人拉致問題解決のために協力を要請するだろう」とする一方、「徴用工裁判や輸出管理問題などの敏感な問題は扱わないと思われる」と述べた。韓国との関係改善は急がないという本音をほのめかしたかたちだ。
興味深いのは、中国と日本の電話会談の議題だ。日本のメディアは今回の会談で、中日両国間の対話継続の確認▽COVID-19対策の協力▽4月から延期された習主席の訪日の3つが話し合われると報じた。習主席の訪日は今年上半期の「香港事態」以降、日本の大衆世論が急激に悪化したことで、事実上難しいのではないかとの見通しが支配的だった。しかし、「可能なら推進する」という方向へと日本政府の立場が変わったのだ。日本が難しい韓国外交にはしばらく手を付けず、日米関係を堅固に保ちつつ中国との関係回復を急ぐ「外堀埋め戦略」を取っているのではないかと懸念される。実際に菅首相は日本の月刊誌『文藝春秋』最新号のインタビューで、2015年末の日本軍「慰安婦」合意の経験に言及しつつ、米国を味方に引き入れ、韓国の外交的な身動きの幅を狭める戦略も「時には必要であると感じた」と語っている。
このような状況の中で最も憂慮されるのは、日本の非協力によって韓中日首脳会議が実現せず、習主席の訪日だけが現実化することだ。そうなれば韓国は、習主席の訪韓を必ず実現させるために必要以上の譲歩を迫られる「外交的危険」にさらされる可能性がある。