大学生のイ・ジョンファンさん(25)は今年4月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断され、2カ月後の6月に陰性判定を受けて退院した。防疫当局は彼を「完治者」に分類する。しかし、イさんはCOVID-19の後遺症からは抜け出せなかった。治療中に生じたひどい脱毛症状のため、皮膚科に通っているが、原因はまだ分からない。感染後2週間、熱が39度まで上がるなど、激しい痛みに苦しんだ結果だと推測するだけだ。
イさんは24日、ハンギョレの取材に対し、「治療のためにHIV(ヒト免疫不全ウイルス)治療薬『カレトラ』を服用した際、極度の消化不良に苦しみ、瞬く間に体重が7キロほど減った。若い人たちのうち、COVID-19の症状を軽く考えて生活防疫を守らないケースもあるが、私はその苦しみを十分味わったので周囲に気をつけるように呼びかけている」と語った。
イさんのようにCOVID-19に感染し、完治判定を受けた後も後遺症で苦しむ人の経験談が相次いでいる。韓国国内では防疫当局が感染ルートや感染者統計を中心にニュースを伝えており、あまり知られていなかった部分だ。同日午後5時基準、韓国政府が発表した完治者は1万4219人だ。
特に「釜山の47人目の感染者」として後遺症をフェイスブックに具体的に公開して注目を集めたパク・ヒョン釜山大学機械工学部兼任教授(48)は「完治者」よりは「回復者」または「生存者」に呼び換えるべきだと提案する。完治者と言えば「後遺症がない」と思われる可能性もあるからだ。パク教授は今年3月に回復し、退院してから170日が過ぎたが、感染前のような日常生活を取り戻していないという。
パク教授が経験している症状は大きく5つだ。彼はどうしても抜け出せないほどの「慢性疲労」、座っているだけでも襲ってくる「胸の痛み」と「胃腸の痛み」、肌が黒くなった「皮膚疾患」、頭の中に濃い霧が立ち込めたようにぼんやりして、記憶力が低下する「ブレーンフォグ」を訴えた。彼は「症状がまるでジェットコースターのように良くなったり悪くなったりを繰り返す」と語った。講義をするのが難しく、1年間の休職も考えている。
外国ではすでに後遺症の研究が本格的に行われている。イタリアの医療陣が143人のCOVID-19重症患者を研究し、米国医学協会誌(JAMA)に発表した内容によると、125人(87.4%)が一つ以上の後遺症に苦しんでいたことが分かった。慢性疲労(53.1%)や呼吸困難(43.4%)、関節の痛み(27.3%)、胸の痛み(21.7%)などだ。嗅覚麻痺や頭痛、食欲不振、咳、めまいなどの後遺症も報告された。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は、「1%未満の患者は肺組織が損傷し、リハビリが必要になる可能性がある。結局、注意深く(事後)モニタリングを行うしかない」と述べた。
軽症患者でも後遺症に悩まされる可能性がある。米国疾病統制予防センター(CDC)が無症状または軽症の状態から回復した274人を対象にアンケート調査を行った結果、35%が微熱や疲労、咳などを負い、感染する前の状態に完全に戻ることができなかったと答えた。
COVID-19から回復した人たちは、事前防疫と感染者の治療も重要だが、アフターケアにも政府が関心を傾ける時だと口をそろえている。パク教授は「後遺症のため、疾病管理本部のコールセンターなどに連絡したが、助けてもらえなかった」と話した。彼は「英国とイタリアは国家主導で後遺症を負っているCOVID-19回復者のためのリハビリプログラムを始めた」と政府の関心を求めた。
米国旅行中にCOVID-19に感染してスペインで治療を受けたKさん(58)は、現地の病院が経過管理をしているため、「あまり心配していない」と話した。先月回復し、陰性と判定されたKさんは「治療中にかなり悪化した肝臓の数値が戻ってこない。しかし陰性判定後も病院で血液検査など追跡管理を行っているが、追加費用なしに社会保障制度に含まれている」と伝えた。
まだ国内ではCOVID-19の治療以後の追跡管理が行われていない。高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は、「米国や欧州のように重症患者が多かった地域を見ると、重症患者の後遺症が多く報告されているが、まだ国内では分からない部分が多いのが事実だ。現在としては拡散を防ぐことが最も重要だが、長期的な追跡管理にも気を使わなければならない」と指摘した。