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米情報当局「中国はバイデン側、ロシアはトランプ側」

登録:2020-08-10 07:03 修正:2020-08-10 08:39
米国のドナルド・トランプ大統領が8日(現地時間)、ニュージャージー州ベドミンスターにあるプライベートリゾートで記者会見を開いている=ベドミンスター/ロイター・聯合ニュース

 中国はドナルド・トランプ大統領が11月の大統領選挙で再選に失敗することを願い、ロシアは民主党大統領選挙候補のジョー・バイデン前副大統領の面目をつぶそうとしていると米国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)が分析した。簡単に言えば、ロシアはトランプ側、中国はバイデン側という分析だ。

 NCSCのウィリアム・エバニナ所長は7日(現地時間)、「米国国民のための選挙脅威アップデート」という題名の声明を出し、「多くの外国の行為者は、選挙で誰が勝つかに関して選好があり、彼らは明示的な個々の声明を通じてこれを表現する」と明らかにした。これに続き、「我々は主に、中国、ロシア、イランの持続的かつ潜在的な活動に対して懸念している」と述べた。秘密工作などではなく公開された声明などを基に、中国・ロシア・イランの米国大統領選挙関連の選好を分析したのだ。

「中国、予測不可能なトランプ大統領の再選を望まず」

 エバニナ所長はまず中国について、「中国は予測不可能だとみるトランプ大統領が再選に成功しないことを望んでいると分析した」と明らかにした。 彼は「中国は2020年11月を控え、米国の政策環境に影響を及ぼし、彼らから見て中国の利益に反する政治家を圧迫し、中国への非難を退け反論しようと、影響力拡大の努力をしてきた」と述べた。それと共に、中国が米国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応と在ヒューストン中国総領事館の閉鎖などに対し、攻勢的な態度を強めてきたと指摘した。彼は、香港、“TikTok”、南シナ海、第5世代(5G)通信網の問題などで、中国が米政権の声明と行動を激しく批判してきたとし、「中国は、このすべての努力が大統領選挙レースに影響を及ぼしうると考えている」と明らかにした。

 ロシアに関してエバニナ所長は、「ロシアは主にバイデン前副大統領の評価を下げるために様々な手段を用いていると分析した」と明らかにした。それと共に、オバマ政権時のロシア政策における当時のバイデン副大統領の役割に対し、ロシアが公の場で非難したことと一致すると指摘した。彼は、親ロシア派のウクライナのある議員がバイデン前副大統領をおとしめるために彼の汚職に関する主張を広め、ロシアと関係する一部の活動家がソーシャルメディアとロシアのテレビでトランプ大統領を持ち上げているという点を事例として挙げた。

米国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)//ハンギョレ新聞社

 イランの場合、エバニナ所長は「イランは2020年の選挙を控え、米国の民主主義制度とトランプ大統領を弱体化させ、米国を分裂させようとしていると分析した」と明らかにした。彼は、イランがソーシャルメディアで歪曲された情報を広め、反米の話題を拡散させることに注力すると見通した。彼は「イランがこのような行動をする動機は、トランプ大統領が再選すれば、イランの政権交替を助長しようとする米国の圧力が継続するという認識に部分的に起因する」と分析した。明示はしなかったが、イランもトランプ大統領の再選を望まないと見ているという意味だと解釈される。

 トランプ政権の一部の当局者は、米大統領選挙に介入する可能性がある国家として北朝鮮を名指ししているが、今回の声明では北朝鮮は言及されなかった。

トランプ大統領「ロシアも私が当選することを望まない」と一線を引く

 2016年の大統領選挙の際のロシアとの共謀疑惑により、在任期間を通じて苦しめられたトランプ大統領は、NCSCの分析とは無関係に、ロシアも自身の再選を望まないと主張し、距離を置いた。彼は7日、ニュージャージー州ベドミンスターにあるプライベートリゾートで開いた記者会見でエバニナ所長の声明に関する質問を受け、「私以上にロシアに対して強く出た者はいないので、ロシアが米国の大統領選挙で当選するのを見たがる一番最後の人物は、まさにドナルド・トランプだろう」と述べた。記者が「それは情報当局の声明と異なる」と言うと、トランプ大統領は「誰が何と言おうと、私は気にしない」とし、北大西洋条約機構(NAT0)がロシアを牽制するために防衛費を大幅に増やした点などを根拠に挙げた。

 トランプ大統領はまた「中国は、ドナルド・トランプが『居眠りジョー・バイデン』に負けるのを見たがっているだろう。バイデン氏が大統領になれば、中国は米国を得ることになるだろう」と主張した。彼は「イランも私が大統領になるのを見たがらない」と述べた。

トランプ大統領「再選すれば、北朝鮮やイランと直ちに交渉する」との発言も

 トランプ大統領はそれと共に、北朝鮮も持ち出した。彼は「はっきり言う。我々が大統領選挙で勝てば、我々はイランと直ちに交渉するだろう。我々は北朝鮮とも直ちに交渉するだろう」と述べた。続いて、自分が大統領になっていなければ、今頃は北朝鮮と戦争中だったはずであり、現在は北朝鮮と関係が良好だと言いながら、「北朝鮮とイランのどちらも、我々とすぐに交渉するだろう」と述べた。「イランは交渉を切望しているが、(私よりは)バイデン氏としたいので見守ろうとしている」とも述べた。

 トランプ大統領の発言は、北朝鮮との緊張緩和を自らの成果として強調する一方、再選すれば北朝鮮と交渉するとし、北朝鮮に「不満をなだめる」信号を送ったと解釈される。逆に言えば、11月の大統領選挙の前は、米朝間での劇的な非核化対話や合意の可能性は低いと、トランプ大統領の口で確認したということでもある。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/956999.html韓国語原文入力:2020-08-09 17:58
訳M.S

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