サムスン物産と第一毛織の不公正合併などの経営権違法継承疑惑の捜査で「合併に関する報告は受けなかった」と疑惑を否認したサムスン電子のイ・ジェヨン副会長が、過去に国政壟断事件の調査を受けた際には「段階別に報告を受けた」と述べたことが2日、確認された。
ハンギョレの取材を総合すると、イ副会長は2016年11月13日、朴槿恵(パク・クネ)前大統領とチェ・ソウォン(改名前はチェ・スンシル)氏の国政壟断事件を捜査していたソウル中央地検特別捜査本部(特捜本)に参考人の立場で出頭し、調査を受けた。当時の特捜本は、パク・ヨンス特別検事チームの発足を控え、サムスンがイ副会長の経営権継承作業への助けを得るためにチェ氏一家に賄賂を渡した疑惑を集中捜査していた。特に、特捜本が注意深く探った点は、サムスン物産と第一毛織の合併過程にイ副会長がどの程度関与したのかだった。イ副会長は「合併の経過がイ副会長に持続して報告され、承認を得て進められたというのは本当か」という質問に「段階別に報告を受け、それに質問もして、討論もした」という内容で答えたという。
しかし、今年5月27日と29日の2日にかけて検察に出頭したイ副会長は、サムスン物産と第一毛織の合併に関し、「過去のサムスン未来戦略室(未戦室)が進んで行っただけで、報告を受けたり指示した事実はない」と述べた。イ副会長の弁護人もハンギョレの電話取材で、「(合併に関しイ副会長が報告を受けなかったというのは)立場ではなくファクト」だとまで語った。4年の間で合併の指示や報告をめぐるイ副会長の態度が正反対に変わったのだ。
イ副会長は2016年の特捜本の調査で、サムスン物産の株式11.12%を保有し合併成立のカギを握っていた国民年金公団へのロビー疑惑に関しては「説得はあった」と認めた事実も明らかになった。国民年金の賛成を引き出そうとグループレベルでどのような活動を行ったかに関して、イ副会長は「全国にいる株主を対象に説得作業を行ったことは事実だ。社会の様々な分野の人をはじめ国民年金側にも社員が説明した」としながらも「具体的な進行状況は報告を受けなかったため、分からない」と答えたという。
これまで、検察の捜査の過程でサムスン側が話を変える状況は何度もあらわれた。サムスンバイオロジクス(サムスンバイオ)は2018年の金融当局の調査の過程で、子会社であるサムスンバイオエピス(エピス)の米国合弁会社「バイオジェン」が保有したコールオブション負債に関し、「会計法人の助言を得て、会計処理を変更した」と主張したが、会計法人であるサムジョンはサムスンバイオの隠蔽によりコールオプション条項を全く知らなかったという事実が、内部文書により明らかになりもした。
またサムスン側は、エピスの2015年の会計処理はバイオのジェネリック医薬品の開発に伴うものだと主張したが、サムスンバイオの最高財務責任者(CFO)のキム・ドンジュン専務は、検察の調査で「バイオのジェネリック医薬品開発は急づくりのイベントであり、当時はエピスのナスダック上場を重要なイベントだと考えた」と述べもした。