軍への服務中に性転換手術を受けたピョン・ヒス元下士(階級名)の「強制退役」の取り消し要請が棄却された。性的少数者問題に閉鎖的な軍内の認識と文化が、再び俎上に載るとみられる。
陸軍は3日、「陸軍本部軍人事訴請審査委員会において、ピョン・ヒス元下士の退役処分取り消し申立てに対する審議を行った結果、棄却が決定した」と発表した。今回の決定が下された軍人事訴請審査委は先月29日に開かれた。陸軍は「軍人事訴請審査委員会では退役処分の違法性の有無を綿密に審議し、2020年1月の『退役処分』は、現行の軍人事法に規定された義務審査基準および退役審査手続きに基づいて行われたもので、退役処分の違法性は確認されなかった」と説明した。
ピョン元下士は、昨年11月の休暇中に性転換手術を受けた後、「女性軍人として軍への服務を続けたい」という意向を示した。しかし陸軍は、休暇から復帰したピョン元下士に対して義務調査を行い、「心身障害3級」判定を下し、その後、退役審査委員会に付して今年1月に強制退役させた。これに対し、ピョン元下士は2月に「退役決定は不当」とし、再審査を求めて陸軍本部に人事訴請を起こしていた。
軍人権センターなどの市民団体からなる「トランスジェンダー軍人ピョン・ヒスの復職のための共同対策委員会」(共対委)は声明を出し、退役処分当時、ピョン下士の性別が女性だということを考慮していなかったことを陸軍が自認したということ▽通常は心身障害があるからと言って無条件には退役させないということなどを挙げ、不当な処分だと指摘した。共対委は「軍の認識体系は依然としてトランスジェンダー軍人の服務を疎ましく思い、とんでもない違法な理由を組織的に作りあげた末に退役させたところから、一歩も進んでいない」とし、ピョン元下士が近く行政訴訟を起こす予定だと明かした。