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陸軍、転役審査を強行…性転換した下士官「強制退役」の危機

登録:2020-01-21 02:30 修正:2020-01-21 07:39
軍人権センター、人権委に緊急救済申請 
「転役審査の延期要請、陸軍参謀総長が差し戻し 
人権侵害・トランスジェンダー嫌悪」
軍人権センターのイム・テフン所長が16日午前、ソウル麻浦区の軍人権センターで、性転換手術を受けた韓国軍初のトランスジェンダー副士官についての記者会見を行っている//ハンギョレ新聞社

 休暇中に性転換手術を受け、女性軍人として服務を続けたいという意思を明らかにした陸軍下士(下士官を意味する副士官の中で最も下の階級)についての転役審査委員会が22日に開かれる予定となっている中、市民団体「軍人権センター」は「法的な性別の訂正を終えた後に審査を受けられるよう転役審査委員会の延期要請を行なったが、受け入れられなかった」として、国家人権委員会に緊急救済を申請した。

 軍人権センターは20日に声明を発表し「転役審査委員会が予定通り今月22日午前9時30分に開かれ、ここで緊急救済が行われなかったとすれば、A下士は転役(ここでは退役のこと)処置に付され、取り返しのつかない人権侵害を受けることになる」とし、「本日、国家人権委員会にA下士に対する緊急救済を申請するとともに、チョン・ギョンドゥ国防部長官、ソ・ウク陸軍参謀総長、ハン・ホソン国軍首都病院長に陳情を行なった」と明らかにした。

 A下士は先の休暇期間中にタイに出国して性転換手術を受け、復帰後も女性兵士として服務を続けたいという意思を明らかにしている。A下士は、部隊に復帰してから受けた義務調査で「心身障害3級」判定を受け、転役審査委員会に付された。A下士は家族関係登録簿上の性別を女性に訂正するため、管轄の裁判所に性別訂正許可を申請しているが、裁判所の判断が出てから転役審査を受けたいとして、陸軍本部側に転役審査の延期を要請している。しかし、陸軍参謀総長が延期要請を差し戻したという。

 軍人権センターはこれについて、「トランスジェンダーが手術を通じて男性の性器を喪失したという理由だけで心身障害転役対象者に分類され、転役審査委に付されるというのは、トランスジェンダー嫌悪に基づいた行為」だとし、「厳然たる人権侵害にあたる」と批判した。軍人権センターはまた、陳情を行なった理由について「男性の陰茎と睾丸を失ったという理由で心身障害だと判断した国軍首都病院の義務調査の結果、陸軍参謀総長がこれに基づいてA下士を転役審査委に付した行為、A下士が転役審査期日を裁判所の性別訂正決定後に延期するよう要請したにもかかわらず、陸軍参謀総長がこれを差し戻した行為などが、下士の性的自己決定権を侵害した人権侵害に当たる」と述べた。また軍人権センターは、このような人権侵害の根本的な原因が、国防部にトランスジェンダー軍人の服務に関する法令、規定、指針がないことにあるとみて、関連法令の制定・改正についても陳情を行った。

キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/925104.html韓国語原文入力:2020-01-20 16:52
訳D.K

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